定期預金で安心って……本当? 金融商品、5つのリスクちきりんの“社会派”で行こう!(2/3 ページ)

» 2009年08月24日 07時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

リスクもいろいろ

東京証券取引所公式Webサイト

 一番分かりやすいのは(1)の価格変動リスクですね。株価が上がったり下がったりすることです。債券も値動きします。商品の値段が“需給バランス”で決まることにより発生するリスクです。

 (2)の流動性リスクとは、「売りたい時にすぐ売って現金化できるか、できないか」というリスクです。土地や美術品はこのリスクが非常に大きいです。お金が必要になった時にすぐ売れるとは限りません。

 金融商品の中では、長期の保険、外国債券、また地方債や国債の大半も途中換金しようと思った時の流動性は非常に低いです。外国債券などは誰か買ってくれる人が見つからないと、いつまでも紙切れのままです。マイナーな市場に上場していて毎日値が付いていない株式も同じだし、私募商品や未公開株も同様です。

 (3) の信用リスクは、お金の出し手、保証元が倒産するリスクです(国についてのリスクである“カントリーリスク”も、信用リスクが中心でしょう。実際デフォルトする国もありますから)。小さな会社などの債券や株式、不安定な国などの発行物ではこのリスクが高いです。

 (4)は金利が上がるリスクで、インフレリスクとも言います。金利が上がると債券のようなものは価値が下がります。特に長期の商品について影響が大きいです(金利商品にとっては(1)の価格変動リスクと同じとも言えますが、需給で変化するだけでなく政策でも変化するファクターなので分離して書きました)。

 また、超長期の商品である生命保険、(民間の)年金商品なども同じですよね。日本は最近はずっとデフレなので、インフレリスクなんてほとんど意識されないですが、おじいちゃんが若い頃にかけていた生命保険が死亡時に支払われた時、その額は「数回の外食費にもならなかった」みたいな話は聞いたことがある人もいるでしょう。

 そして「高金利だ」と言って海外通貨を買っていたら為替が大きく円高に振れて、というのも一部は金利リスクと言えます。

 最後の(5)プロセスリスクとは、その金融商品の発行や流通に関わったいろんな会社の倒産やトラブルで生じるリスクです。複雑な商品ほど関係者が多いので、このリスクが大きくなります。不動産投信や抵当証券などでは、聞いたこともないような会社が商品形成の中間にいくつも入っていたりします。これらが1つでも倒産すると、非常にややこしいことが起こります。

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