限られた売り場を最大限に活用して、面積当たりの売り上げを高めているコンビニ。約100種類の新商品が毎週発売されているが、売れない商品は発売から2週間ほどで撤去されてしまう。厳しい審判をくぐり抜け、コンビニでヒットしているのはどんな商品なのか。一般には「おいしい商品」「お得な商品」「テレビCMが放映されている商品」が売れると思われがちだが、実は重要なのは「店頭展開」。このコラムでは、コンビニのヒット商品を展開方法の観点から分析していく。
不二家の看板商品である「カントリーマアム」。チョコチップを埋め込んだクッキーで、ココア味からバニラ味、塩キャラメル味までさまざまな種類が販売されている。
カントリーマアムといえば、かつては16枚入りのファミリー向け商品が売れ筋商品だった。だが、コンビニの主要客層は個人顧客(パーソナルユース)であるため、16枚入りの商品では多すぎて、手が出にくい商品となっていた。
そこで、昨年ころから1枚入りの個包装商品を21円で販売を始めたところ、追い風が吹き始めた。1枚入り個包装商品は、コンビニの主要客層のニーズにマッチ。コンビニのレジ横で、カゴに入って並ぶようになったカントリーマアムを覚えている人も少なくないだろう。こうして、「コンビニでお菓子をヒットさせるには、まずパーソナルユース向けに個包装すべき」という流れができると、次は「いかにして商品価格を上げるか」という商品開発につながっていく。
なぜそうなるかというと、コンビニ経営者としては「売れる商品=良い商品」とは言えないことに原因がある。コンビニ経営者の目的は商品を販売して売り上げや利益を向上させることだが、1品21円の商品だと、いくら売れても店全体で見れば微々たる売り上げにすぎない。しかし、これが1品100円となれば、売り上げへの寄与度も高くなる。
あるチェーンの調査によると、6月末時点のチョコレート売れ筋商品ベスト10の平均価格は約130円。やや乱暴だが「コンビニで売れるチョコレートの価格は130円前後」と考えると、メーカーにこのあたりの価格設定にしてもらえれば、販売者のコンビニとしてもモチベーションが高まってくるということになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング