M&Aに絡む話題などで買い先行となるも景気回復鈍化懸念が根強く軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年08月24日 08時50分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10174.41▼39.21

<NASDAQ>2159.63▼20.13

<為替:NY終値>85.17-85.23

M&Aに絡む話題などで買い先行となるも景気回復鈍化懸念が根強く軟調

 週末のヘッジ売りの買い戻しやM&A(企業の合併・買収)に絡む動きがあり、買い先行となりました。米国での景気回復鈍化懸念から欧州でも金融不安が再び浮上、商品相場が軟調となったことに見られるように、信用収縮懸念もあって売られました。今週から来週にかけて主要な経済指標の発表を控えており、経済指標の悪化を先取りするような売りも見られたものと思います。センチメントが下向きとなっているなかで、悪材料「懸念」だけで手仕舞い売りも出てくるようです。

 特に売り急がなければならない材料がでたわけでもないのですが、ユーロ安が金融不安を惹起させ、リスク許容度が低下、商品相場が冴えない展開となると株式市場も手仕舞い売りなどが嵩み、株式市場が冴えないとリスク回避の動きが出て、ますますユーロが売られ、商品相場が軟調となるというような悪循環となっています。主要な経済指標に下げ渋りや好転が見られないと調整気分がますます強まり、センチメントも上向かないのでしょう。

 個別には買収合戦の様相を呈したことで財務負担の増大を嫌気、デルやHP(ヒューレット・パッカード)は軟調となりました。景気の先行きに対する不安が増大し、キャタピラーやアルコア、ボーイング、GE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感銘柄が軒並み軟調、インテルやシスコシステムズ、アップル、IBMなどハイテク銘柄も軟調となりました。銀行株はバンク・オブ・アメリカやシティグループは変わらずとなるなど底堅い展開となり、原油価格が軟調となったのですが、エクソン・モービルは堅調、ディフェンシブ銘柄としてメルクやファイザーが買われ、ウォルマートも堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場はユーロ安などから売り先行で始まり軟調な展開となりました。それでも、経済対策や円高対策に対する期待もあり、底堅さも見られました。後場に入ると経済対策や円高対策が何も打ち出されなかったことを失望して下値を探る展開となりました。引け値ベースで安値更新となりましたが、何ともやる気のない相場で売買高、売買代金共に少なく、最後まで方向感はありませんでした。

 米国市場が軟調となったことやユーロが大きく下落=円高となったことから軟調な展開となりそうです。9000円を意識する水準まで下値を試す展開となると思われますが、対米ドルでは落ち着いておりディフェンシブ銘柄などの買いで底堅さは見られるかもしれません。足元の業績面からは売り込み難いと思われますが、買い急がなければならない材料もないことから、底堅さは見られても少なくとも大きく戻りを試す動きにはならないでしょう。既に十分に売られているハイテク銘柄に底堅さが見られるかどうか、ディフェンシブ銘柄や内需関連銘柄が物色されて下支えとなるかどうかが注目されます。

 日経平均は9000円の攻防となりそうです。政府・日銀に対する失望感が強まれば9000円を割り込む可能性もありそうですが、割り込んだところではいったん達成感もあって、売られすぎ感の強い銘柄や先物には買い戻しも見られるでしょう。逆に底堅さが見られ9000円水準を割り込まずに頑張った後で先物主導で割り込むような展開になると下げが加速されてしまう可能性がありそうです。為替に落ち着きが見られれば9000円台を保てるのでしょうが、円高が進むようであれば9000円を割り込むことになってしまいそうです。

本日の注目点

◇20年物国債〔8月債〕の入札

◇4−6月期の独国内総生産(GDP)改定値

◇7月の米中古住宅販売件数

◇米2年物国債の入札

◇エバンスシカゴ米連銀総裁が講演

◇海外4−6月期決算:バーガー・キング

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