コラム
» 2010年09月08日 08時00分 公開

あなたの努力が報われない時、どう考えるべきなのか?(2/3 ページ)

[村山昇,INSIGHT NOW!]
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報われやすい努力、報われにくい努力

 下図は、投じる努力とそれに反応する変化を表したものだ。

 <比例変化>とは、自分の投じた努力に比例して変化がきちんと起こる状況である。例えば、語学のような習いごとの場合、始めたばかりのころは、勉強量に応じて語学が上達していく。

 次に<逓減変化>とは、努力に対する変化の度合いが徐々に小さくなっていく状態である。何事もある程度のレベルまで上達してくると、何か「カベ」のようなものにぶち当たり、成長が鈍る。そんな時のことを指す。

 そして3番目に<非連続的変化> 。私たちは時に、努力しても、努力しても、状況になかなか変化が現れない期間を経験する。しかし、それでも努力を止めなかった時、ふと、突然にジャンプアップの変化が起きる時がある。

 私は留学経験があるので分かるのだが、米国に住むと、最初はどうしてもヒアリングに難がある。しかし、3カ月後くらいに、すぅーっと耳に通ってくる(英語の場合は、頭の中で翻訳プロセスを通さず、ダイレクトに英語でものを考える)状況が起こる。これは自分の言語能力のレベルがぽんと変わった瞬間である。これが非連続的変化だ。

 さて、冒頭で触れたグラン・ジュテ(大きな跳躍)―――これはまさに3番目の非連続的変化を言う。

 また、私はグラン・ジュテを「過冷却」の現象にもなぞらえる。Wikipediaの説明によると過冷却とは「物質の相変化において、変化するべき温度以下でもその状態が変化しないでいる状態を指す。例えば、液体が凝固点(転移点)を過ぎて冷却されても固体化せず、液体の状態を保持する現象」ということだ。

 水を例にとると、水を常温からゆっくり静かに冷やしていく。すると、摂氏0度になっても凍らず、マイナス何度の液体の水となる場合がある。この状態を過冷却と言う。しかしこの時、振動などの物的刺激を与えると、一瞬のうちに水は凍結する。

 つまり、人生におけるグラン・ジュテの直前というのは、過去からの努力の蓄積が、とうに変化を起こしてもよいくらいの量を投じられているにもかかわらず、現象としての変化が起きていない……そんな過冷却状態であるわけだ。

 そんな時、神さまは彼(彼女)にきっかけを与える。何かの事件であったり、出会いであったり。そして見事、跳躍が起こる。

 頭ではこうした人生の原理を説明することはできる。しかし、人生というものは、そう簡単な話ではない。なぜなら、私たち1人1人がする努力を計量機をにらめっこしながらちゃんと帳簿につけてくれる神さまが果たしているのかどうか分からない……それこそ神のみが知ることだからだ。

 下図を見てほしい。私たちは現在から一瞬先の未来のことは予測できない。

 パターンAのように、あとどれくらいのタイミングで、あとどれくらいの努力をつぎ込めば、グラン・ジュテが起きてくれるかは分からない。1年後か5年後か、いや、場合によっては明日なのかもしれない。

 いや、ひょっとすると永遠に来ないかもしれない(パターンB)。

 いや、そう考えている矢先、まったく努力などしない隣の能天気人間が、あっさりと成功を収めてしまうことだってある(パターンC)。

 ちなみに、Cの場合のジャンプアップは、グラン・ジュテと言うより「ラッキー・リープ」(幸運な跳躍)と名付けるべきものだ。ラッキー・リープした人間は、跳躍した分の中身が伴っていないので、事後にそこを埋める努力をしないと、身を持ち崩すことが多い。

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