各調査項目とプロフィール情報をクロス集計することで、メディアやコンテンツの利用者像がリアルに浮かび上がる――MCSの特徴の1つ目がこれだ。「マラソンをする人は収入が多く、ラジオを聴く人が多い」「Twitter好きは東京と神奈川に住む人が多く、『タモリ倶楽部』『けいおん!』などの深夜バラエティやアニメを好む」「『崖の上のポニョ』好きには20代女性が多く、ケータイで有料の電子書籍コンテンツを読んでいる率が高い」といった分析が可能になる。
特徴の2つ目は、コンテンツの消費プロセスや、ユーザーが好きなコンテンツの特徴、類似作品などを知ることができるという点だ。特徴を押さえておけばコンテンツの宣伝・販売プランに生かせるだけでなく、新しいコンテンツや関連商品の企画にも活用できる。上述の”『崖の上のポニョ』好きな20代女性”という例をさらに詳しく見ていくと、彼女たちはニンテンドーDSを持っている割合が高く、『どうぶつの森』『トモダチコレクション』といったゲームを好む人が多いという。例えば、『崖の上のポニョ』のDVDを借りに来た人や、『どうぶつの森』『トモダチコレクション』を買いに来た人に、ニンテンドーDSの新作ゲームを宣伝すれば効果的ではないか、といった計画を立てられるのだ。
なお遠藤氏は、『崖の上のポニョ』好き20代女子がこれらのカジュアルゲーム好き、有料ケータイコンテンツ(ゲームや電子書籍など)好きであることに注目して「カジュアルデジタル女子」と命名、「コンテンツ業界にとって最も重要なユーザー層」と指摘している(「カジュアルデジタル女子のゆくえ」、参照リンク)
膨大な量の詳細データは、マーケティングプランの大きなヒントになる。しかし、データの量が多すぎてどう扱っていいか分からなかったり、全体像が把握できないままデータ解析を始めてみたが、データに翻弄された結果、まったく見当違いな方向に進んでしまったり――こういう例もまたよくある。
9月10日、ユビキタスエンタテイメントはiPad用アプリ『MCS Elements』(参照リンク)を発売した。価格は1万円、iTunes App Storeで販売している。
これは、MCSの調査データを元に、あるコンテンツを購入しているのはどんな人たちか、あるカテゴリーの人はどんな嗜好(しこう)を持っているか、といったことをiPadの簡単なタッチ操作で調べられるというものだ。MCS Elementsでは、MCSの一部の調査データ(38設問/1531選択肢)をクロス集計できるだけでなく、グラフを作成し、表示・出力できるようになっている。グラフはメールに添付して画像として保存したり、Twitterに投稿したりすることもできる。
「Amazonを見ても分かるとおり、消費行動のデータやその調査は非常に重要になってきています。統計的な手法を用いたマーケティングが、再び注目を集めていますが、クロス集計には膨大なリサーチデータが必要で、特にクロス集計やグラフ作成は専門家でないと難しかった。MCSはメディア調査としては格安であり、専門家でなくても直感的に扱えるのが特徴。マーケッターや宣伝担当などの人に使ってほしいと思っています」(遠藤氏)
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