“働けない世代”が再生産されるかもしれない(2/3 ページ)

» 2010年09月17日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
赤木智弘さん

ちきりん:できれば論理的に主張して勝てればいいんだけど、なかなかうまくいかないということを経験的に知っている、ということですか?

赤木:わたしはコンビニエンスストアで7年ほどアルバイトをしました。しかし、そこで働いたことに対して“認めて”くれる人はいませんでした。こうした状況に対し、自分はどうすればいいのか、さっぱり分からなかった。また周囲の人から「○○会社で働いたらどうだ?」といった声もありませんでした。

 フリーターしか働かせない経営者は、フリーターを“認め”なければいけない。しかし働く現場では、そうしたものが全くなかったですね。なので社会の中でも「自分たちはものすごく浮いている状態である」と認識しています。

ちきりん:しかし今は「赤木智弘」という名前で本を出されている。それでも社会が“認めてくれていない”という感覚がありますか?

赤木:少し違いますね。わたしは学者出身のライターではないし、名前なしでやっているライターでもない。今の自分は、少しヘンなポジションでライターの仕事をしている感じですね。ただ「社会的に定まった場所にはいない」という感覚はずっと抱いています。

ちきりん:一流大学を卒業して「フリーライターとして本を出したい」という夢を持っている人もいます。彼らからすれば、赤木さんのことを“認める”のではないかと思いますが。

赤木:フリーター時代、社会に対して反発してきませんでした。また「何かをやろう」とも思いませんでした。仕事への適性というものを考えると、自分は1つの場所でずっと働くほうが合っている。しかし現在は自分の適性に合っていないところで働いている、といった感覚がありますね。しかも、もはやそこでしか生活の手段がない状況です。

ちきりん:赤木さんの言論は、同じ世代の人や同じような立場の人に役に立っていると思いませんか?

赤木:思いますが、自分のやりたい方向とは違う。仕事に対する不満があっても生活に余裕があれば、お金を使ってストレスを発散できるかもしれない。しかし今の自分は、自分が思っていることと違う方向で働きながら、かつお金もたいしてもらっていない(笑)。

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