格安航空会社が羽田にやって来る! エアアジアXのカラクリ(2/3 ページ)

» 2010年09月22日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

エアアジアXのビジネスモデル

――エアアジアXとはどのような航空会社ですか?

オスマンラニCEO:エアアジアグループは2001年に事業を開始し、グループの中でエアアジアXは長距離運航のサービスを提供している。当初、機体は2機しかなかったが、2010年8月現在で94機保有している。現在の従業員は8000人以上で、132路線を飛んでいる。

 創業後にテロや津波、新型インフルエンザ、原油価格の高騰など、さまざまが出来事があった。しかしそういうときに魅力的なサービスを提供すれば、多くのお客さまが利用してくれると考えている。ここ数年、他の航空会社はコストカットなどを行ってきたが、その間にエアアジアXは事業を拡大することができた。

エアアジアXのアズラン・オスマンラニCEO(写真中央)

――エアアジアXのビジネスモデルを教えてください。

オスマンラニCEO:格安航空会社といえば小さな飛行機を飛ばして、短い距離しか飛んでこなかった。しかしエアアジアXではクアラルンプールからロンドンまで13時間かけて飛ばすなど、長距離運航を始めた。こうしたことができるのは、わたしたちが他社とは違ったビジネスモデルを導入してきたから。

 これまで長距離運航といえば大手航空会社しか手がけてこなかった。しかし大手のビジネスモデルというのは、1つしかない。それは“上級顧客”にサービスを提供するというもの。「プレミアムの価格を払ってもいい」「時間を大事にする」といったお客さんを対象にしてきたが、エアアジアXはより安い料金でサービスを提供することを始めた。

 大手航空会社の1機当たりの飛行時間は、1日で12時間〜14時間ほど。しかしエアアジアXでは同じ飛行機で、1日17時間以上飛ばしている。大手航空会社の飛行機は空港に到着しても、すぐには飛ばない。なぜなら上級顧客の時間に合わせ、飛行機の離発着時間を決めているから。しかしエアアジアXの飛行機は300人の乗客を空港に降ろし、すぐに乗客を乗せて、60分〜70分後には出発するので効率がいい。

――機内サービスでのビジネスモデルを教えてください。

オスマンラニCEO:機内食もローコストモデルを徹底している。エアアジアXでは、お客さまに「何を食べたいのか」「何を買いたいのか」ということをお任せしている。「すでに食事を済ませているので、飛行機では寝たい」というお客さまもいる。そうしたお客さまは食事代を支払う必要がないので、お金を節約することができる。

 しかし他の航空会社を利用すれば「食事を済ませたので機内では寝たい」と思っていても、わざわざ起こされ、機内食が配られることがある。そして食べられない人はそれがムダになってしまう。こうしたムダはコストに加算されてしまうが、エアアジアXでは「必要なモノだけを支払っていただく」というシステムをとっている。

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