週末の欧米株高を好感して円高気味にも関わらず大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年09月27日 16時25分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 中間期末の「配当取り」の動きもあったのか、先週末の米国株高などを好感して買い先行となり、大幅高となりました。為替が円高気味であったので、どこまで米国株高を織り込めるのかと思われましたが、中国問題なども先週末までの下落で織り込まれていたとの見方もあり、閑散とした中で買い戻しを中心に指数を押し上げた格好です。何が変わったわけでもないのですが、先週までの持ち高調整の売りが一段落となったことで指数があっさりと押し上げられたものと思います。

 米国では経済指標の発表を見ても、センチメントの好転で悪材料視する見方も少なくなっているようです。先週末に発表された耐久財受注でも「予想は下回ったが、機械や電気の受注は好調」と見られ、新築住宅販売でも「予想を下回ったが7月の数字が上方修正された」と売り材料視されることはありませんでした。「予想を下回った」ということが重要視されず、「下回った『ものの』」ということが好感されたものと思います。

 欧米や中国では自国通貨安政策を推進しており、今後はそうした「通貨安」政策一辺倒とはいかなくなってくるのでしょうが、ここまでは通貨安のおかげで企業業績が持ち直し、企業業績が持ち直したことで雇用や個人消費に底堅さが見られ、個人消費や雇用に底堅さが見られるなかで金利も超低金利が続いていることで、住宅指標なども底堅さが見られています。こうした「政策」単に補助金などの支援策だけではない政策の方向性がしっかりと見えていることで、景気が回復したとすれば、日本でも円安にするのであれば円安にする、しないのであれば「円高」という状況でどうすればいいのかを示す必要があると思います。

 株価も経済動向や為替に反応しているように見えて、その実目先の需給だけで動いているようで、中長期的なビジョンが見られないような気がします。こうした政策、ビジョンの不在が日本の金融株の低迷を示しているということではないかとも思えて来ます。円売り介入も「とりあえず周りがうるさいから」と言うことのようにも思われ、本当に円安にしたいのかどうかが示されないと、介入効果もすぐに薄れて全く意味のないものになってしまうのではないかと思います。政策や為替動向に関わらず、しっかりと世界経済の拡大についていける企業に注目して見たいと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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