持高調整の売り買いが中心で方向感なく小動き清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年10月22日 15時53分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株は堅調ですが、日本市場では特に材料視されることもなく、個別に好業績銘柄や値動きの良い低位銘柄が買われ、週末の持高調整の売り買いのなかで買戻しの入っている銘柄が堅調となっているだけの相場展開でした。相変わらず相場全体の方向感や物色材料が見られるわけでもなく、為替動向をにらみながら目先の需給に振らされる展開が続いている感じです。G20会合を控えた週末ということで、手仕舞い売りや買戻しが主体で方向感のない展開でした。

 米国も日本も決算発表が本格化するなかで好調な決算となっている企業が多いような気がします。一方で、米国の金融緩和が大きく取り沙汰されているように、企業業績はいいのだが景気は悪いと言うような状況になっているようです。海外、特に新興国の経済拡大の恩恵で日米欧の企業の業績が好調ということなのですが、その好調な企業業績の果実が個人ベース、従業員ベースまで降りていないことで「景気が悪い」と言うことになるのでしょう。

 日本でもいつ失業するかも知れず、年金ももらえるのかどうかわからないという状況では個人が貯蓄に走るのと同じで、企業も「株主のため」とか「企業業績を上げるため」に売上を伸ばすというよりは人件費などを中心にコストを切り下げることで「業績が好調」とし、そして「将来悪くなるかもしれないから今のうちに配当をする」とか「今のうちに「貯めておく」と言うことで業績を保っている面もあるのではないかと思います。

 デフレの世界では慌ててお金を使う必要がなく、お金を使わないからデフレになる、という悪循環も見られるものと思います。ですから、「子供手当て」や「高速代無料」という政策ではなく、「エコポイント」であり、「エコカー減税」であり、「高速1000円」というような「お金を使わせる」政策が必要ということでしょう。そして企業も、従業員がお金を使えるように、会社の収益を株主ばかりではなく、従業員にも配分するようなそんなシステムも必要なのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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