「仕事を任せない上司」に腹を立てている若者へ(1/2 ページ)

» 2010年10月29日 08時00分 公開
[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール

川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

イニシアチブ・パートナーズ代表。京都大学教育学部卒業後、1988年にリクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。2010年1月にイニシアチブ・パートナーズを設立。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ


 先日、Twitterを見ていたら、「仕事を任せられない上司が多い」「指示命令スタイルの上司は、まだまだ多いのかもしれない」「任せる覚悟や任せた後の辛抱が足りないケースも見られる」「自分が言われたら、決定権、責任すべてを任せるって捉える」などと、仕事を任せるということについて、何らかの不満や言いたいことがあるようなツイートがなされていました。しかし、どうやら根本的な勘違いをしているように思うので、触れておきたくなりました。

 そもそも、上司が部下に「仕事を任せる」というのは、「全権を委任する」と言っているのでもなければ、「勝手にやっていい」と言っているのでもありません。「任せた」という言葉は、「お前が全部責任をとれよ。私は知らない」という責任放棄を意味してはいません。

 その仕事に対する責任を負うのは上司や組織の長であって、「任せる」と言ってもそれは何も変わるものではないのに、勘違いして「任せられているのだから」と報告も連絡も相談もしないような人がいますが、そういう人に対しては責任を自覚する上司ほど不安に思うのは当然で、信頼できなくなってくるのでだんだんと任せられない人になっていきます。

 サントリーの“やってみなはれ”精神も、「責任は問わない、責任はとってやるから」という言葉が省略されているから光り輝くのであって、“やってみなはれ。そのかわり、失敗したらお前のせいだから”では、何のメッセージにもなりません。

だいたい、部下として関与されたくない(細かに情報を求め、指示命令してくる上司がイヤだと思う)のであれば、組織でやっている(シナジーの追求やリスクのコントロールをする)意味がないので、組織など離れた方がいいでしょう。責任を取りたくても取れないのが部下であって、そんなに取りたいのであれば、1人になるしかありません。

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