中高年がリストラされれば若者は救われる?ちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)

» 2010年11月15日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]
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若年者の失業問題が解決されない原因

 まとめると、AとBの意見の対立点は下記となります。

意見A

  • 給与は仕事の成果の対価である。
  • 従って、誰であれ仕事の対価に見合わない給与をもらうのは不当だ
  • 労働者はスキルと経験を得ることで、仕事の対価である報酬を増やせる
  • 追加的な支出を求める場合、財源をセットで考えるのは“責任ある立場の者として”当然である

意見B

  • 給与は生活必要資金の個人への分配である。
  • 仕事の対価に見合っていなくても、その人の生活に必要な給与額を払うのは正当なことである(反対に、たとえ仕事の対価であっても、生活費を大きく超える報酬を得るのは不当である=いくら仕事ができても、生活費の安い若者が高給をもらうのは不当である)
  • 労働者がより高いスキルや経験を得ても、得をするのは資本家と経営者だけだ
  • 自分たちが要求することの財源を考える必要はない。それは経営者や権力者の仕事である

 BはAを「いたずらに世代対立をあおり、労働者の分断を図る卑劣な意見」と非難し、AもBを「いまだにマルクスの亡霊に取りつかれている時代遅れの活動家」と見ています。この“労働者間の対立”こそが、いつまでたっても若年者の失業問題が解決されないことの根本的な原因でしょう。

 そんじゃーね。

著者プロフィール:ちきりん

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN

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