円安基調を好感して底堅い堅調な展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年11月17日 19時49分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 米国市場は底堅いながらも上値の重い冴えない展開となりましたが、日本市場は円安に振れたことなどを好感して買い先行となりました。ただ、円安といってもまだ円高懸念が残っていることもあり、寄付きの買いが一巡となった後は円高気味となったこともあり、上値も重く、上値の重さを嫌気して手仕舞い売りを急ぐ動きもあって軟調となりました。節目と見られる9900円では買い難く、9800円を割り込むところでは売り難いということなのだと思われます。

 為替は引き続き円安ぎみとなっています。昨日は実需のドル売りと見られる売りもあって、円高気味となる場面もありましたが、基調がドル高=円安基調となったことで、ドルを売り急ぐ、円を買い急ぐ動きもあまり見られないようです。11月というヘッジファンドなどの決算月ということもあり、これまでの持ち高を解消する動きが出ているとすれば、為替でも「ドルキャリー取引」の解消の動きから、円を売ってドルを買い戻す動きがあってもおかしくはないと言うことなのだと思います。

 株式市場でもこれまで大きく上昇、「リーマンショック」前の水準まで戻していたニューヨークダウなどが大きく下げるなかで、日経平均は底堅い堅調な動きとなっており、先週あたりから、米国株安、日本株高、とこれまでの動きと反対の動きとなりました。これも、ヘッジファンド(だけとは限りませんが)などの持ち高を解消する動きと見れば、つじつまもあうのではないかと思います。商品相場などももちろん新興国での景気拡大スピードの鈍化懸念などもあるのかもしれませんが、投機的なリスクを取れる資金が買っていたものを手仕舞っていると考えてもいいのではないかと思います。

 毎年、10月、11月になるとこうした動きが見られ、波乱となりますが、それも徐々に落ち着いてくるものと思います。これまでのドル安政策が変更となる可能性もあり、今後もドルの動きだけではなく、米国個人消費の動向や、商品相場などにも注意が必要ということでしょう。12月に入っても商品相場などに底入れ感が見られないような展開であれば、新興国の景気拡大を疑って見てもいいのでしょうが、それまではあくまでも目先の需給要因と見ておいてもいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.