欧州金融不安や「地政学リスク」を懸念して大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年11月24日 08時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11036.37▼142.21

<NASDAQ>2494.95▼37.07

<為替:NY終値>83.11-83.17

欧州金融不安や「地政学リスク」を懸念して大幅下落

 日本市場が休日の間の米国市場は週明けは落ち着いた動きでしたが、昨日は大幅下落となりました。23日に発表された、GDP(国内総生産)の改定値は上方修正となったのですが、北朝鮮の砲撃の問題や欧州金融不安、中古住宅販売が予想を下回ったこと、FRB(連邦準備理事会)による米経済成長見通し引き下げに加え、ヘッジファンドのインサイダー取引問題など、悪材料が目白押しとなり大幅下落となりました。欧州金融不安もいったんはアイルランドの支援要請で悪材料出尽くしかと思われましたが、銀行株の格下げ懸念などもあり、ファンド筋の見切り売りなども嵩んで大きな下げとなりました。

 今後は北朝鮮問題や欧州金融不安の拡大が取り沙汰されることになるのでしょうが、ドル安効果や金融緩和効果が個人消費に好影響となっている感もあり、徐々に落ち着いて来るものと思います。足元の企業業績は好調となっており、クリスマス商戦をにらんでの動きとなるものと思われます。今週は木曜日が休場、金曜日は半日立会いとなることから、昨日も手仕舞い、持高調整の売りも多かったものと思われますし、クリスマス商戦前の調整と言うことで、大きく下げたもので、あとはクリスマス商戦次第と言うことになりそうです。

 個別には欧州金融不安から欧州銀行株の格下げ、大幅下落に加え、ヘッジファンドのインサイダー取引の捜査拡を受けて、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックスなど金融株が軒並み軟調、米経済見通しの下方修正や地政学リスクを懸念して、インテルやIBMなどハイテク銘柄も好決算や好調な見通し、目標株価の引き上げで買われたHP(ヒューレット・パッカード)を除いて総じて軟調、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感銘柄やホーム・デポ、ウォルマートといった消費関連銘柄なども安く、ほぼ全面安となりました。金先物価格の上昇を受けて、パブリック・ゴールドは堅調、投資ファンドによる買収が報じられたJクルーは大幅高となりました。

本日の相場

日経平均

 休日前の日本市場は中国の預金準備率引き上げ、アイルランドの支援要請など波乱要因が多かったにもかかわらず、為替の落ち着きや出尽くし感から買い先行となり、一時大幅高となるなど堅調な展開となりました。円高懸念が薄れたことで、企業業績の上振れも期待され、見直し買いもあったものと思います。最後はさすがに休日を控えていることもあり、ヘッジ売りや手仕舞い売りに押されて上値も限定的となりましたが、ハイテク銘柄や機械株などを中心に堅調となりました。

 目先的な過熱感が強まっているところで、北朝鮮の砲撃からの「地政学リスク」に加え、欧州金融不安の蒸し返し、中国の金融引き締めの影響への懸念に米国株の大幅下落、為替もユーロや高金利通貨が売られるなど波乱含みとなっており、日本市場も売り先行となりそうです。対米ドルでの為替は比較的落ち着いており、売り一巡後には好業績が期待できる銘柄や出遅れ感が強い銘柄を中心に底堅さも見られるのでしょうが、ここへきて順調な戻りを示していたハイテク銘柄などは利益確定売りや戻り売りに押されることになりそうです。

 日経平均が10000円水準を割り込むところで買いが入るのかどうかが注目されます。リスク回避の動きが強まると、10000円を割り込んでも売りは止まらず、節目と見られる9800円〜9900円水準を試すことになるのでしょう。ただ、北朝鮮の問題が広がりを見せるのかどうかを見極める動きになるのでしょうし、欧州金融問題の拡大も限定的との見方が広がれば10000円水準で底堅い展開となるかもしれません。

本日の注目点

◇10月の全国百貨店売上高(日本百貨店協会)

◇10月の民生用電子機器の国内出荷実績(電子情報技術産業協会)

◇10月のパソコン国内出荷実績(電子情報技術産業協会)

◇11月の米消費者態度指数(確報値、ミシガン大学調べ)

◇10月の米耐久財受注額

◇10月の米個人所得

◇10月の米個人消費支出(PCE)

◇10月の米新築住宅販売件数

◇7年物米国債入札

◇11月の独Ifo企業景況感指数

◇海外8−10月期決算:ティファニー

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