米国株高や円安を好感して大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年12月02日 16時26分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 中国や英国、ユーロのPMI(製造業購買担当者景気指数)が好調なことから、世界的な景気の拡大が期待され、欧米株式市場や商品相場が堅調となったことから、日本市場も買い先行となりました。寄り付きの買いが一巡した後は指数は狭い範囲での動きとなりましたが、利益確定売りを急ぐような動きもなく、終始値持ちの良い展開となりました。為替もユーロやドルが堅調となったことで日本の輸出企業の業績上振れも期待されたものと思います。

 12月は堅調なことが多いと昨日も述べましたが、昨日、今日の海外での動きを見ても経済指標の好転はあったものの、11月のヘッジファンドの決算が終わったから持高調整の売り、手仕舞い売りが終わったことで、新たにリスクを取るような資金が株式市場や商品市場に流れ込んで来たものと思われます。ここへ来て、かなり強気な向きも多くなりましたが、今週の米国の経済指標=雇用統計などが好転していれば、「ミニバブル」的な動きとなって来る可能性もありそうです。

 いわゆる「リーマン・ショック」の暴落を過ぎてからはどうしても疑心暗鬼になっているのでしょうが、ここへ来て、米国や欧州の景気回復の過程でも、「リーマン・ショック」前のような資金の流れが復活している面もあるのではないかと思います。新興国の経済が拡大することで、その資金が新興国内だけでは回りきれず、欧米や日本に回ってきているということです。ドル安やユーロ安効果で企業業績の向上ということで資金が流れ込んでいることもありますが、新興国から欧米への投資という形で流れている資金も多いのではないかと思います。

 かつては「オイルダラー」と呼ばれたようなアラブの石油収益などもそうですし、中国が米国債を買っているのも新興国から欧米への資金が流れていることでしょう。そうした資金が欧米の株式や商品相場、先物市場に流れても不思議はないと思われます。日本が新興国の投資対象となるのかどうか、欧米から見ても投資対象となるのかどうか、ということになるのでしょうが、日本がアジアの中での成長率の低い国と言うことで埋没してしまわない限り、長い目で見ても企業の成長、株式市場の成長は期待できると思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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