目先的な過熱感も強く上値の重い冴えない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年12月07日 16時05分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場はまちまち、為替もユーロ安やドル安となったものの大きな動きはなく、手掛かり難となり、昨日に続いて小動きとなりました。週末のSQ(特別清算指数)算出を意識しているわけでもないのでしょうが、先物もまとまった売り買いは少なく、方向感のない展開となっています。世界的に「金余り」というような雰囲気はあるのですが、一方で実体経済の回復・拡大が伴わず、また、資金の集まるところも限られているようで、先行きに対する見方も慎重になっているようです。

 欧米ではまだまだ景気回復が本物ではないと言うことで金融緩和が継続され、自国通貨安政策も継続しているようです。日本では企業努力で「景気は悪いが企業業績は好調」と言うような感じになっています。米国では企業業績が好調で個人消費にも回復の兆しが見られますが、日本ではまだまだ個人消費の回復には程遠いと言うことなのでしょう。物事を楽観的に見られるかどうか、国民性の違いもありますが、米国では政策の柱と言うか方向性がはっきりとしていることが好感されるのだと思います。

 減税継続もあっさりと決定されたようですが、日本では未だに「証券優遇税制」の問題も議論されています。「金持ち優遇」と言う見方もされているようですが、株式投資などの「リスク」をとる資金に課税すると言うのも無理がありそうです。法人税の減税もなかなか議論が進みませんが、エコカー減税や株式投資のように「お金が動く」ことに対しての減税など「お金が動く」「お金を使う」ことでの減税であれば回りまわって税収増加も期待できるのではないかと思います。

 単純に、法人減税で税率が半分になっても、利益が倍になれば税額そのものは変わりません。同様に証券優遇税制でも税率が倍になっても儲けが半分になれば税額は増えないのです。企業の経営者も同じような人が多いですが、目先の手取りを増やすとか、目先の支出を減らすということばかりを考えすぎているのではないかと思います。もっと「経済の拡大」を図って、税収も収入も増やす方策を考えて見ても良いと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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