公的年金は誰に支払うべきなのかちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)

» 2010年12月13日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]
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非正規雇用で年金未納の若者を救うために

 さらに、この方法はほかの施策と異なり巨大なインパクトがあります。国民年金の未払いが増えているとはいえ、加入率がほぼ100%に近い厚生年金のおかげで、大半の高齢者が年金を受け取っています。しかし生活保護を受け取っている人は約1%強です。この間のどこかに年金をもらえない人の線引きをすることで、大幅に年金財政を改善することができます。

生活保護率の推移(出典:社会実情データ図録

 もちろん「1億円の資産がある人には払わない」とか、「年収が2000万円を超える人には払わない」というような高いところに線を引くと、削減できる額より事務コストの方が大きくなってしまい無意味です。また、スムーズな制度改革には、国民の資産と収入が一元管理できる国民統一番号制度の導入が不可欠です。

 しかし、統一番号が導入され、「貯金が300万円を切るまでは年金は受け取れない」というあたりに区分線を引けば、年金財政は一気に改善します。

 受給額の引き下げや支給年齢の引き上げなどの施策は、今後急増する「若い時に正規雇用の仕事につけず、そのため私的貯蓄もままならず、加えて、高齢になってから少額の年金しか受け取れない人」の生活を直撃します。いつまでもこのような方策だけで問題が解決できるとは思えません。

 そもそもこの制度は、積み立て貯金ではなく社会保障のはずです。もういちど制度の根幹に戻り、「公的な年金は、いったい誰に払うべきものなのか」という問題を考えてみるべきではないでしょうか。

 そんじゃーね。

著者プロフィール:ちきりん

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN

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