コラム
» 2010年12月15日 08時07分 公開

松田雅央の時事日想:トルコ系移民が増えて、どんな問題が起きているのか (2/3)

[松田雅央,Business Media 誠]

 Aさんによれば、この部下は彼女の前では愛想よくしているのに、陰ではAさんの悪口を言いふらしているそうだ。まずその二枚舌な態度が我慢ならないという。

 それはさておき、あまりに仕事ができないので手とり足とり指導していたら、彼は次の日から2週間ほど病欠してしまった。彼が会社に提出した病院の診断書によれば、病気の原因は「会社の上司(つまりAさん)の不当な精神的圧力によるストレス」だったという。

 中学校の先生をしている別の知り合いのBさん(女性)からはこんな話を聞いた。クラスにはトルコ系移民の生徒が何人かいるが、特に男子生徒が女性教師に反抗的で手を焼いている。何かの問題でBさんが注意したところ、返ってきた言葉が「女の分際で何を言う!」――。

 一事が万事この調子だから、ドイツ人はトルコ系移民のマッチョなメンタリティーが鼻について仕方ない。

移民の背景を持つドイツ居住者の国別割合(出典:ドイツ統計局、2008年)

ゲスト労働者

 そもそも、これだけトルコ系移民が増えたのはドイツ政府がとった「ゲスト労働者政策」のためだ。第二次世界大戦後の労働力不足を補うためトルコから労働者(主に単純労働)を招き入れ、呼び寄せられた家族と定住化したのが今のトルコ系移民である。昔は大歓迎で招かれたのに不景気な時代になると「移民がドイツ人の職を奪う」と邪魔者扱いされ、さらには規制の対象になるのだから、彼らの立場からすればこんな理不尽な話はない。

 現在のトルコ系移民の若者は二世代目あるいは三世代目ということになり、トルコ語とともにドイツ語を母国語として話すが、往々にしてドイツ語能力には問題がある。幼稚園や保育園に通わず、小学校に入って初めてドイツ語を学ぶ子どもが多いのだ。子どもだから語学の習得は比較的早いが、6歳までのハンディはいかんともし難く、他の教科を含めどうしても習得が遅れてしまう。結果的に高等教育に進むことが困難になり、賃金が高く安定した仕事に就くこともできない。

 第一世代が単純労働者であっても以後の世代が高等教育を受け、より高い社会階層に移っていくのが社会適応の理想だが、それが難しい。結局、失業率や犯罪率が上昇し、端的に書いて“社会のお荷物”になりやすい。

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