日銀短観などに反応し切れず方向感のない展開が続く清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年12月16日 07時37分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は堅調とはなったのですが、FOMC(公開市場委員会)への反応は鈍く、日本市場は日銀短観が発表されたのですが、反応し切れないと言う展開になりました。為替が円安気味ということもあり、足元の業績に対しての不安も少ないのですが、目先的な過熱感は強く、出遅れ銘柄の買い一巡感もあって上値の重い展開となりました。ただ、米国での景気回復期待もあり、円安傾向にあることを考えると売り急ぐ動きもなく、指数は小動きとなりました。

 東証一部の騰落レシオが歴史的に高い水準となり目先的な過熱感が強まりましたが、その割には指数の上昇は鈍く、個別に見ても移動平均線やRSI(相対力指数=過熱感を示す指数)などを見ても極端な数字とはなっていません。また、個人的に日経平均採用銘柄、225銘柄で毎日、20移動平均線との乖離が3%以上、RSI(14日)が70以上、ストキャスティックスが80以上、となっているものを「割高銘柄」としてピックアップしているのですが、(「割安銘柄」も出しています)特にその数が多くなったと言うこともありません。

 つまり、日経ジャスダック平均が昨日まで11日連騰となったことでもわかるように、出遅れ銘柄が物色される動きでの水準訂正で毎日少しずつ高いものが多いと言うことなのでしょう。「過熱感が強い」と言われても指数の上昇幅も少なく、時間が沸かないのではないかと思いますが、こうした別な視点から見て見ると、それほど「過熱感が強い」と言うことでもないことがわかります。ただ、朝方市場筋の推計として伝えられる外国人売買動向も13日間連続で買い越しとなったことを見ると、明らかに相場は変わったと考えられます。

 このように、いろいろな視点で相場を見て、大きな相場の流れを掴んでおくことはとても大切なことだと思います。そして昨晩、瞬間的に為替が円高に振れるようなこともしっかりと「何故瞬間的な円高で済んだのか?」などを考えて、相場の流れを見ることも大切だと思います。目先的な、小手先のテクニックで利益を上げるのも良いのですが、大きな流れに乗って、大きく利益を上げると言うことも考えてもいいのではないかと思います。案外、「今」がそうしたことをしっかりと考えなければならないところかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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