欧州金融不安から手仕舞い売りに押される清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年12月16日 08時31分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11457.47▼19.07

<NASDAQ>2617.22▼10.50

<NY為替>83.66△0.57

好調な経済指標を好感するも欧州金融不安から手仕舞い売りに押される

 朝方発表されたニューヨーク連銀景気指数や11月の鉱工業生産指数が改善、予想も上回ったことから買い先行となりました。ただ、スペイン国債の格下げなどから欧州金融不安が強まり、また、ここのところの長期金利の上昇を懸念する向きなどもあって、手仕舞い売りに押されて軟調となりました。特に売り急ぐような材料と言うこともでなく、利益確定売りに押されたという雰囲気で景気回復期待が強いなかで底堅さは見られるものの軟調となりました。

 ここのところ発表される経済指標も取りたてて「良い」と言う感じでもないのですが、好調となっており、景気回復期待は強まっているようです。長期金利の上昇を懸念する動きも強いのですが、逆に言えばFRB(連邦準備理事会)が国債の買取などを続けることで、リスクが取れる向きも多く、そうした資金のリスク許容度が高まって、商品相場や株式相場に資金が流れているという面もあるものと思われ、大きな問題とはならないと思われます。

 個別には欧州金融不安もありJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株が軟調、金先物価格が下落したことからpブリック・ゴールドなど金鉱株も軟調となりました。原油先物価格は上昇したのですが、利益確定売りに押されてエクソン・モービルなど石油株も安く、ハイテク銘柄もIBMやインテルなど利益確定売りに押されるものも多かったのですが、アップルやマイクロソフトが堅調となるなどしっかりと買いも入っているようです。景気敏感株もアルコアやGE(ゼネラル・エレクトリック)は利益確定売りに押されたもののキャタピラーは堅調となるなどまちまちとなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は方向感のない展開となりました。日米の主要なイベントや指標もあったのですが、米FOMC(公開市場委員会)にも日銀短観の発表にも影響が限定的となり売り急ぐ動きはないのですが、積極的な買いも見られないという状況でした。日経平均が冴えない展開となるなかでTOPIXは堅調、日経ジャスダック平均は小幅ですが11連騰となるなど、物色の広がりも見られました。

 米国市場が欧州金融不安などから売られ、軟調となったことや目先的な過熱感もあり、本日の日本市場も方向感のない展開となりそうです。ただ、指数には目先的な過熱感はあるものの、先週の先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出時に高値をつけた後、調整となっているハイテク銘柄なども多く、ユーロ安は懸念されるものの円安が進んだことで底堅い堅調な展開は期待できると思います。出遅れ感が強いとして買われていた金融株などは上げ一服となるのではないかと思われますが、商社株やハイテク株などが下支えとなり、総じて見ると軟調ながらも底堅いような、あるいは堅調な展開となって来るのではないかと思います。

 依然として10200円〜300円水準の節目を抜け切れずにもみ合いとなっています。指数は狭い範囲での動きが続いていますが、為替も米国景況感も国内の景況感も強弱感が対立するところであり、しっかりと方向感が出るにはもう少し時間がかかりそうです。欧米市場でも指数の下落幅が小さいことでもわかるように、下値不安も薄れており、出遅れ感が強い銘柄などを買う動きは続くものと思います。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.