コラム
» 2011年01月11日 11時32分 公開

松田雅央の時事日想:バイオのあおりで、ビールが値上がりするかもしれない (2/4)

[松田雅央,Business Media 誠]

国土の6%がエネルギー作物

 ドイツのバイオガス発電ブームに火をつけたのは2000年に施行された再生可能エネルギー法(EEG)だ。同法の適用を受ければ20年間、発電施設の規模に見合った売電価格が保証される。再生可能エネルギー法は2004年と2009年に保証の仕組みが手厚く改定された影響で、発電施設はさらに増加を続けている。現在ドイツでは約6000のバイオガス発電施設が稼働していると推定され、発電出力の総計は2300MW(メガワット)、統計の取り方にもよるが国内総発電量の1〜2%が農業系のバイオガス由来ということになる。

 売電保証価格は規模の小さい発電施設ほど高く設定され、発電能力150kW(キロワット)までの施設は11.67セント/kWh、500kWまでは9.18セント/kWh、5000kWまでは8.25セント/kWhなどと差がある(1セント=0.01ユーロ≒1.2円)。再生可能エネルギー法はバイオガスをはじめとする再生可能エネルギーの開発と普及を支援する法律であり、生産効率の劣る小規模発電施設でも経営が成り立つよう売電価格を設定しているためだ。

 バイオガス発電施設の増加に伴ってトウモロコシを代表とするエネルギー作物の作付面積は増加しており、2010年現在、215万1000ha、割合にして国土のおよそ6%に達する。

ドイツにおけるエネルギー作物の作付面積(緑)とバイオガス発電施設の出力総計(オレンジ)の推移(出典:FNR〈持続可能作物エージェンシー協会〉、DBFZ〈ドイツバイオマス研究センター〉、FvB〈バイオガス協会〉)

エネルギー作物+家畜し尿

 バイオガス発電の原料には家畜し尿を利用することも多く、歴史はこちらの方がずっと長い。

 家畜し尿はバイオガス発電に利用されるようになるまで肥料として直接農地に撒かれていたが、これをバイオガスの原料として利用すれば温室効果ガスの大気放出を防ぎ、なおかつ発電もできるから一石二鳥だ。また、家畜し尿の有効利用を推進することは中小農家(酪農家、養鶏場など)の経営支援という経済的意味合いも強い。

 実際のバイオガス発電施設はエネルギー作物と家畜し尿を組み合わせるところが多いようだ。中小規模のバイオガス発電施設については、原料として常に30%以上の家畜し尿を使用するなら発電1kWあたり4セントのボーナスが上乗せされる。上乗せボーナスには他にコジェネレーション設備を導入に対する「コジェネレーションボーナス:3セント/kWh」、技術的に優れた施設に対する「テクノロジーボーナス:2セント/kWh」などもあり、小規模施設で原料をうまく組み合わせれば1kWあたり20セント以上の売電保証価格も可能だ。

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