コラム
» 2011年01月11日 11時32分 公開

松田雅央の時事日想:バイオのあおりで、ビールが値上がりするかもしれない (3/4)

[松田雅央,Business Media 誠]

 例として、20ha(ヘクタール)の農用地を所有し出力40kWのバイオガス発電施設を持つ小規模農家・酪農家について概算してみよう。

 牧草地や家畜飼料用の土地として10haを使用し、エネルギー作物のトウモロコシ用に10ha利用しているとする。トウモロコシは1haあたり2kWのバイオガス発電をまかなえるから、これでおよそ20kW、そして家畜し尿が20kWに相当する。

 発電施設を年間約8760h(時間)、90%の出力で稼働させるならば年間の発電量は

40kW×8760h×0.9=31万5000kWh

 売電保証価格を1kW当たり20セント(0.2ユーロ)と仮定すれば、年間の売電収入は

31万5000kWh×0.2ユーロ/kWh≒6万3000ユーロ(677万円)

 耕地面積20haの農家が小規模農家に分類される点からして日本とは状況が異なるが、この規模でも売電だけで年間およそ760万円の収入を得ることができる。

 ただし発電施設の建設には数千万円以上かかり、トウモロコシ生産にも経費がかかるから、現実的にはこの規模だと売電だけでは経済的に成り立たない。ここで収益性の鍵を握るのは熱の有効利用だ。

 エネルギー作物や家畜し尿を発酵させメタン生産しこれを燃焼させて発電機を回すと、燃焼エネルギーの半分以上は熱として逃げるので、この熱(温水)を農場や家屋で利用するだけでなく近隣の建物や工場に供給・販売する工夫が必要になる。

バイオガス発電施設

完全なエコはない

 さて、ドイツ全国に広がる215万1000haのエネルギー作物畑がすべてバイオガス向けというわけではなく、バイオディーゼル生産に51%、バイオエタノール生産に13%が利用され、バイオガス用は36%である。

 再生可能な資源である植物を原料とする点でバイオディーゼル、バイオエタノール、バイオガス発電は確かにエコ的だが、需要の急拡大により世界的な問題を引き起こしているのも事実だ。熱帯雨林の減少に拍車がかかる、あるいは価格高騰により貧困国の飢餓が深刻化するといった問題は周知の通り。先進国であるドイツは飼料用穀物の国内生産が不足すれば輸入で補えるが、ドイツのバイオブームが貧困国の飢餓深刻化に加担しているとすれば広い意味でエコ的とは言えなくなる。

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