コラム
» 2011年01月20日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:記者の出世は“見えない壁”で決まる、歪な内情 (2/3)

[相場英雄,Business Media 誠]
yd_aiba2.jpg 兜クラブを拠点に資本市場の内部を取材した(写真と本文は関係ありません)

 日銀クラブで金融政策や金融システム、民間銀行の経営問題をみっちり取材し、兜クラブで資本市場の内部をつぶさに見たあとだけに、次は財政、税、国際金融の取材してみたいと切に願っていたからだ。同省取材の過程では、政治家との接触が多くなると聞かされていたこともあり、魅力に感じていた。

 だが、当時の直属のキャップの反応は極めて冷淡だった。「君は大卒じゃない。大蔵省を取材する資格はないよ」。言葉の端々に、「キーパンチャー上がりに大蔵省を触らせるわけにはいかない」とのトーンがにじみ出ていたことを十数年経た今も鮮明に記憶している。

 一介のキーパンチャーを記者職に就かせてくれた古巣に対し、筆者は現在も大変感謝している。経営センスのなさを批判することはあっても、記者という仕事の面白み、やりがいを教えてくれことに対する恩義は今も変わらない。だが、このときほど自身が極めて特殊なキャリアを経たことを痛感したことはない。

本社採用組を蹴散らせ

 閑話休題。

 古巣を退社して数年後、筆者を取材に来た某大手紙の記者に先ほどの一件を話したところ、この記者の顔色が変わった。

 聞けば、この記者も同じような境遇にあるというのだ。同記者は本社採用ではなく、地方支社で採用された。「本社採用組とは明確に給与体系も違えば、担当する取材先も区別されている」と聞かされた。

 同社の他の記者にこの人物のことを尋ねた際、地方で猛烈に取材を続け、スクープを連発したことで本社にたどり着いた猛者、ということだった。

 「本社採用組を蹴散らしたい一心で仕事を続けている」――。同記者は筆者にこう語ってくれた。真摯(しんし)な取材姿勢とともに、筆者は同記者のガッツにいたく感銘を受けた次第だ。

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