女性はみんな知っている!? 化粧品「ロクシタン」の身近でリッチなマーケティング(1/2 ページ)

» 2011年01月26日 08時00分 公開
[猪口真,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:猪口真(いのぐち・まこと)

株式会社パトス代表取締役。


 化粧品全体の市場が前年比1.4%減の2兆1503億円、フレグランス市場に絞っても前年比4.0%減の310億円(2010年、いずれも富士経済調査による)となる中で、順調に2ケタ成長を続けるブランドがある。

 それがロクシタン ジャポンが提供する「ロクシタン」。百貨店に頼らざるを得ない大手化粧品メーカーを尻目に順調に売り上げを伸ばし、約6年間でなんと12倍にもなったという。

 このロクシタン、今では知らない女性はいないほどだが、派手な広告展開に頼ることもなく、独自のマーケティング戦略を駆使し、オンリーワンのライフスタイル提案に成功している。

ロクシタン公式Webサイト

 これまでの化粧品メーカーの多くは、宣伝媒体は基本的にテレビ、雑誌媒体などのマス媒体を多用し、百貨店を中心に他メーカーと似たり寄ったりの店舗を構え、百貨店に依存するゆえ独自ルートでの販売を敬遠してきた。

 このロクシタンは、百貨店で条件のいい売り場を提供されなかったこともあり、独自の店舗展開を開始する。まずは店舗をショールームと位置付け、路面店や駅ビルなどに出店している。

 媒体広告はほとんど行わず、店舗を中心とした頻繁な商品開発、販促プロモーションなど地道な販促展開を繰り返す。テレビショッピングやネット通販にもいち早く取り組み、これまでの化粧品メーカーでは考えられなかった独自路線をひた走る。

 商品コンセプトや製造プロセスの訴求クオリティも群を抜く。ロクシタンWebサイトによると、ロクシタンは1976年に南フランスでオリビエ・ボーサンによって設立され、すべての製品は主にプロヴァンスで採取される自然原料を使用し、伝統的手法で製造されているという。

 さらに、20年以上も前から、伝統的な製法でシアバターを生産するブルキナファソの女性たちと、フェアトレードシステムによって利益をシェアし、製品には点字ラベルを施し、国際NGO団体ORBISの失明予防のための活動を支援している。

 そうした商品、製造工程のこだわりは、すべて「トゥルーストーリー」として商品に息づき、ユーザーへの「ロクシタンと過ごすプロヴァンスのライフスタイル」提案へとつながる。

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