コラム
» 2011年01月31日 08時16分 公開

ニホンの借金に無関心? 菅首相の「疎いので」発言藤田正美の時事日想(2/2 ページ)

[藤田正美,Business Media 誠]
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英国の問題は、財政赤字+インフレ率

 菅首相が好きな英国では、財政赤字からの脱却を掲げた保守党と自民党の連立政権が苦闘している。2010年第4四半期の経済成長率がマイナスになったからだ(年率換算マイナス2%)。天候が著しく悪いということも理由の1つだというが、財政再建のために歳出カットを進めている最中であるだけに、こうした政策を見直すという議論もまた盛んになりそうだ。英エコノミスト誌最新号(1月29日号)でこの問題について触れている(関連リンク)

 英国の問題は、財政赤字だけではなく、インフレ率も高い(2010年12月に3.7%)ことだ。これに国際商品価格(原油や穀物)が上昇していること、付加価値税が引き上げられることを合わせると、春にはインフレ率が4%に上昇する可能性もある。マイナス成長、インフレ、そして財政赤字という組み合わせは先進国ではまれとはいえ、ないわけではない。ギリシャはまさにそれで苦しんでいる、と同誌は指摘する(確かに、日本はインフレではない。ただデフレはより悪性の病気だから、英国より始末が悪いかもしれない)。

 それでもオズボーン財務相が大幅な歳出カットや増税といった財政再建策を掲げた昨年6月ごろの見通しに比べれば、景気は予想外に強い。だから歳出カットを緩めて景気刺激をするという政策転換をすべきではないというのが同誌の主張だ。

 歳出のカットは増税よりも財政赤字を減らすのに効果的である、としてこう書いている。「もしさらに景気の悪化を示す数字が出てきたら、新しい増税策を棚上げしてもいいかもしれない。国債を発行して歳出を確保するのは成長戦略ではない。せいぜい消費主導の経済から輸出、投資主導の回復へのつなぎ役にすぎない。世界経済の高い成長率、企業利益の回復、そして弱い通貨が英国経済成長のカギとなるはずだ」

 金融緩和と緊縮財政という英国の政策が正しいのか、それとも米国(そして日本)の超金融緩和と財政支出による景気刺激が正しいのか、判断するにはまだ早い。しかし残念ながら、日本のように借金漬けの財政が持続可能であるはずはないのである。いかに赤字財政から脱却するのか、いかに景気を回復させるのか、いかにデフレから抜け出すのか、民主党政権に課された宿題はあまりにも重い。「疎い」首相をいただく余裕は日本国民にはないはずなのである。

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