第44鉄 白銀の鉄路をSL列車で旅する〜SL冬の湿原号杉山淳一の+R Style(1/5 ページ)

» 2011年01月31日 11時13分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 今年も『SL冬の湿原号』が走り始めた。期間は1月22日から3月6日まで、釧路駅と釧網本線の標茶駅を結ぶ列車である。SL列車は全国で人気を集めているが、とくに『SL冬の湿原号』は「雪景色とSL列車の旅」が楽しめる希少な列車として人気がある。そこで今回は、昨年の私の体験を振り返りつつ、その魅力をお伝えする。

map 今回のルート。GoogleMapsで筆者による各ポイントについての説明が読める

機関車は釧路発が前向き、帰りは逆向き

 流氷で知られる知床方面から、快速列車に2時間ほど揺られて標茶駅に着いた。標茶の由来はアイヌ語で「シベッチャ=大きな川のほとり」とのこと。大きな川とは、駅の西を南北に流れる釧路川で、このあたりの人々は、昔から釧路川を母なる川として生活の拠り所にしていたという。なかでも標茶町は釧路川のほか、別寒辺牛川(べかんべうしがわ)と西別川の流域が重なり、水利のよい場所である。近年はルアー釣りやカヌーでも人気だ。

標茶駅
待合室の天井にタンチョウが飛ぶ

 標茶には明治18年に網走刑務所の前身「釧路集治監」と戸長役場が置かれた。昨年は行政施行125周年の節目を迎えた。人口は約8400人。そんな標茶町の中心が標茶駅だ。今でこそ釧網本線の途中駅の1つになってしまったが、かつてはこの駅から中標津へ標津線の線路が分岐していた。川の集まるところは交通の要衝、鉄道も例外ではなかった。ゆえに標茶駅の構内はやや広めである。待合室には私と同じ釧路行きのSL列車が目当てと思われる人々が集まっていた。傍らでは民芸品を販売するワゴンも出ていて賑やかだ。誰もがこれから始まるSL列車の旅にときめいている。

釧路発の『SL冬の湿原号』が到着
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