ハンブルクが独自の環境戦略を構築するなかで柱とするテーマは「交通」「大気&エネルギー」「自然&まちの緑」「都市の発展&住居」「省資源&経済」「持続可能な消費活動」。洪水の多発するエルベ川が流れるハンブルクにとって、特に気候変動の抑制とCO2排出削減は死活問題であり、これがすべてのテーマを横断的にカバーしている。
ハンブルクを流れるエルベ川は2002年に大洪水を引き起こし、今シーズンも12月の大雪が原因で増水している。2002年の教訓を生かした対策がなされているとはいえ、地域によっては通常水位を9メートルも上回る決壊寸前のきわどい状況だ。さらに時代をさかのぼると1962年には歴史的大洪水で350人余りの死者を出すなど、中州を埋め立てた土地の多いハンブルクは気候変動による水位上昇に敏感とならざるをえない。
ハンブルクのCO2発生源は工場・産業系、家庭系、サービス系、交通系によりほぼ4等分される。1990年の排出量を基にした削減実績は2007年が−17%、そして2020年の削減目標は−40%、2050年は−80%とかなり野心的だ。
ここで問題となるのは、数値目標を単なる「絵に描いた餅」にすることなく、いかに実効性のある削減計画を立て、実績を積み重ねていくかである。ここで行政の力量と市民の環境意識が問われることになる。
ハンブルクが掲げるCO2削減の戦略的な手法は「省エネ」「エネルギーの効率的な利用」「再生可能エネルギーの開発」の3つ。そして、その基礎として「啓蒙活動」と「研究・技術革新」に力を入れる。実はこういったCO2削減の基本的な手法はドイツのどの都市をとっても大きな差はなく、かなり標準化されている。
ただしハンブルクの手法にはもう1つ「国際協力」があり、ここに海外とのつながりが深い港湾都市の独自色が見られる。例えばハンブルクが主催し欧州の主要15都市(パリ、フランクフルト、ナポリなど)が参加する「EUCO2 80/50 プロジェクト」が代表例だ。
2008年に始まった同プロジェクトは各都市の担当者が参加するワークショップや共同研究、コンピュータシュミレーションを通し「CO2削減の最良のシナリオ」を導き出すことを目的としている。プロジェクト名にある「80/50」は「2050年までに(1990年比)80%削減」という目標を示したものだ。
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