なぜニュースでは「ドル円」と呼ぶの?南はるなのFXのヒミツ(1/3 ページ)

» 2011年02月10日 08時00分 公開
[南はるな,Business Media 誠]

著者プロフィール

南はるな(みなみ・はるな)

株式会社マネックスFXでマーケティング部長を務める。アパレル業界でファッションを学んだ後、しばしの海外生活中に利用したインターネットの利便性に衝撃を受け、帰国後の2001年にアマゾンジャパン株式会社に入社。カスタマーサービス部門を経て、マーケティング部に異動。アフィリエイト・プログラムの運営など、オンラインマーケティング業務に従事。2009年にマネックスFXに入社、同年10月より現職。主にマーケティング企画やPRを担当。金融初心者である自身の経験を踏まえ、初めて投資を検討する人にも分かりやすい情報提供を行うべく、日々奮闘中。


 「本日の外国為替市場、(米)ドル円は83円92銭から94銭で取引されています。」――。

 ニュースでこんなアナウンスを聞いたことがある人も多いのでは。米ドル円のレートは、日経平均株価と並び、毎日のマーケットニュースの常連ですので、意識はしなくとも何気なく耳に入ってくるものですよね。読者の多くは、このアナウンスの意味を正しく理解していると思いますが、少し前の私には全く理解できず、「92銭から94銭くらいの幅で値が動いているのかな……」と、とんでもない勘違いをしていたものです。

 私がその勘違いに気付いたのは、海外旅行に出かけたときです。日本円を米ドルに両替する際、米ドルを「売る」場合と「買う」場合では価格が異なるということを知りました。両替所のカウンターで、米ドル紙幣とともに手渡された明細書の内容を確認しながら、2つの価格の差額が両替所の利益(=利用者の支払うコスト)にあたるのだということを理解したのです。

 そうすると、件のニュースのアナウンス「ドル円は83円92銭から94銭で取引されています」は「83円92銭から94銭くらいの幅で値が動いています」ということではなく、ドル円の「売り」(ドルで円を買う)レートは「83円92銭」であり、「買い」(円でドルを買う)レートは「83円94銭」ですよ、ということなのです。

 FX(外国為替証拠金取引)でよく登場する用語「スプレッド」とは、この話に登場する「売り」と「買い」の差であり、すなわち利用者の支払うコストであると同時に、FX会社の手数料にあたるものです。前述の例では、差額は2銭ですから「米ドル円のスプレッドは2銭」と表現されます。この「スプレッド」に代表されるように、FXにはなにしろカタカナの用語が多く、初めての方には少しとっつきにくいところがあります。仕組みが分かってしまえば、案外簡単なのですが……。

売りレート、買いレート、その差額=スプレッドのイメージ

 このコラムでは「FXって聞いたことはあるけれど、どんなものだろう?」と少し興味を持たれている読者の皆さんに、なるべく分かりやすく、簡単にFXの仕組みをご案内したいと思います。今すぐFXのお取引を予定していない方にも、知っておいて損のない話をご紹介したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

※編集部注:ニュースで紹介される「マーケットの取引価格(実勢レート)」は、両替所の「提示レート」とは異なりますので、ご注意ください。
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