なぜニュースでは「ドル円」と呼ぶの?南はるなのFXのヒミツ(2/3 ページ)

» 2011年02月10日 08時00分 公開
[南はるな,Business Media 誠]

外国為替市場にはカタチがない?

 さて、次に外国為替市場について整理をしましょう。

 株であれば東京証券取引所、魚であれば築地市場のように専門の市場がありますが、外国為替には特定の市場が存在するわけではありません。銀行やFX取引業者など、外国為替を扱う会社があれば、そこが市場になります。ですから、世界のどこかで金融機関が開いている限り、為替の取引は24時間続きます。

 外国為替市場の1日はニュージーランドのウェリントンから始まり、オーストラリア、日本、香港、シンガポール、英国、米国で終わります。各地域で取引が活発になる昼間の時間帯を、便宜的に金融の中心地の名前で呼び、日本時間の7時ごろから17時ごろまでを「東京市場」、17時ごろから21〜22時ごろまでを「ロンドン市場」、21〜22時ごろから翌朝7時ごろまでの時間帯を「ニューヨーク市場」と呼んでいます。

市場はニュージランドから始まり、米国で終わる

 1日当たりの取引量はおよそ4兆ドル(BIS調べ、2010年度)。日本円にして約340兆円といいますから、どれだけ大きな市場規模かお分かりになりますよね。

相対取引の仕組み

 24時間どこかで取引されている外国為替は相対の取引ですから(取引所取引を除く)、市場の売り手と買い手の需給がそろえば取引成立となります。また各国の経済動向により、需給のバランスに変化が起こり、急激に価格が変動する場合があります。取引が活発なときには価格が比較的安定しますが、取引が少ない場合においては価格が不安定になり、場合によっては、取引自体が成立しない可能性もあります。

 このため、米ドル/円に代表されるメジャー通貨は比較的安定的に価格が供給されますが、世界的に取引量が少ないマイナー通貨の場合には、安定的な価格提供が難しくなります。

 個人投資家がFX取引を行う場合には、証券会社やFX会社を利用することになりますが、会社側は顧客からの注文に応じて、外国為替市場から仕入れを行います。FX会社が顧客の取引を成立させる際の手数料にあたるものをスプレッドと呼びますが、FX会社もまた、仕入れ先にスプレッドを支払っています。市場のスプレッドは、前述の理由で常に変動していますが、FX会社が複数の取引先を確保することによって、安定的に・有利な価格で仕入れ、顧客が一定のスプレッドで取引できるように企業努力を行っているのです。

外国為替市場のイメージ

 ちなみに、顧客へ提示するスプレッドが各社で異なるのは、仕入れの方法や手数料の徴収スキームが異なるためですので、FX取引をする際には各社の情報を良く調べてご利用ください。

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