そういったわけで日本とドイツの商工会議所制度には類似点が多いのだが、会員構成には大きな違いがある。日本は加入が任意なのに対し(英米系)、ドイツは加入が義務づけられている(仏独系)。
任意加入の利点は、シンプルに書くと「主体性とやる気のある会員が集まるので活発な活動が期待できること」。それに対し義務加入の利点は「会員数が多くなるので財政が安定し、充実した活動ができること」である。例えば人口880万人の東京23区を統括する東京商工会議所の会員数が約7万7000人なのに対し、人口178万人のハンブルクの会員数が約14万人と大差がついている。
主な財源を会費に頼る商工会議所にとって会員数の増減はまさしく死活問題といえ、日本の商工会議所は会員数減少に悩むところが少なくない。財源だけでなく、活動の幅、スタッフの質と量、社会に対する発言の重みも、会員の裾野の広さに左右されるはずだ。東海地方から来た関係者と一緒にドイツのある商工会議所を視察した際、日本側から「うらやましい……」という率直な感想が聞かれたことを思い出す。
昨今、日本でもドイツでも「経済発展と環境保全の両立」というテーマにとりたてて目新しさを感じることはなくなったが、どれほど実効的な取り組みを行っているかという点では日独にかなりの開きがある。
ハンブルク商工会議所が掲げる「事業活動の概要」は以下の7項目だ。
- 経済政策
- 創業支援と経営補助
- 訓練、研修
- イノベーション&環境
- インターナショナル
- 法律とフェアプレー
- 交流と情報
ここに「環境」の文字を見つけられるのが特徴であり、東京、大阪、神戸の各商工会議所Webサイトの事業活動の概要には登場しない。3都市の商工会議所も独自の環境取り組みを行っているはずだが、環境の格付けがハンブルクほどは高くなく、経済発展と環境保全の両立を目指す戦略の充実度に違いがあることを示している。
項目「イノベーション&環境」の内訳は以下の通りである。これをみると「環境」「エネルギー」「先端技術」といったテーマで、環境に切り込んでいることが分かる。
- イノベーション&環境
- 環境
- エネルギー政策とエネルギー・アドバイス
- 技術政策と技術アドバイス
- 産学協働
- イノベーションと特許
- 手続に関するアドバイス
- IT、メディア、創造的な経済活動
- ハンブルク地域の特徴
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