米国株安を受けて売り先行、いったん戻るも売り直されて軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年02月23日 16時35分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅下落となったことから、売り先行となりました。ただ、昨日の大幅下落である程度織り込まれていたことや昨日の大幅下落の反動もあって底堅さは見られました。中東情勢はいっこうに解決の兆しも見られず買い戻し一巡から再度売り直されるものも見られるなど目先的な売り買いや持高調整の売り買いが中心となっていたものと思われます。

 昨日の大幅下落に続き本日も軟調となりました。前場は値持ちも良かったのですが、買戻し一巡後に買い手も見られず戻りの鈍さを嫌気して売り直されたものも多かったようです。日本国債の格付け見直しも話題にされ、売り要因の一つとされたものと思いますが、以前もこのコラムで述べたように格付けも気にしなければならないのかどうか、格付けというのは何のためにあるのかなど、見直しても良いのではないかと思います。

 証券会社の「投資判断」と同じで、帳面上の数字を見て、格付けをしているだけで、それを投資尺度としても良いものなのかどうかは甚だ疑問です。格付けの「いい加減さ」はサブプライムローンを組み込んだ証券への格付けなどで既に明らかになっているのですが、そもそもどの程度危険なのかどうか、実際に投資や融資をする際には人に頼るということではなく、自分の判断でするべきであり、その判断の元になるのは、格付けではなく、個々の財務諸表などを見ると言うことになるのではないかと思います。

 株式の投資判断も同じことですが、「周りの評価」に振り回されすぎているのではないかと思います。アナリストの投資判断にしても、格付け会社の格付けにしても決して、投資や投機の「尺度」となるものではなく、単に「私はこう思う」というようなものではないかと思います。その「私」は絶対的なものではないのですが、あたかもその「私」に従わなければならないと勘違いをしているような気がしてなりません。枝葉末節にこだわるだけの下手なアナリストの見方よりも、きちんと業績や世の中の流れを掴んでいる人の方が正しいことが多いと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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