政局の混乱を嫌気して、大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年03月07日 17時15分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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銘柄ピックアップ

個別の材料で買われるものもあるが、総じて軟調

Uアローズ(7606) 1465 △59

 先週末の引け後に2011年3月期の連結純利益が前期比2.5倍になる見通しと発表、従来予想の5割強の上方修正となったことや年間配当を従来予想から3円増やしたことも好感されて買い気配から始まり大幅高となりました。

日 立(6501) 505 △5

 インドとブラジルで都市鉄道向けの合弁生産を検討し始めたと新聞で報じられ、将来の収益貢献を期待して好感する買いが入り堅調となりました。

東 電(9501) 2128 △13

 特に買われる理由があったと言うわけでもなく、逆に原油高などは売り要因となるのですが、原油高で景気回復が遅れるのではないかとの懸念が強まり、ディフェンシブ銘柄として景気の影響を受けないことから買われました。先週末の大幅高の相場でも買われていなかったことから買戻しも入ったものと思います。

三菱商(8058) 2272 ▼24

 先週末は原油高メリットもあるとして買われたのですが、週が明けると原油高を嫌気して売られる相場に連れ安となり、特に売り急ぐ動きはないものの見切売りに押されて軟調となりました。

信越化(4063) 4425 ▼105

 先週末買われていた銘柄に大きく下げる銘柄が多かったのですが、先週も冴えない動きとなっていたにもかかわらず売られました。持高調整の売りが続いていると言うことなのだと思います。

THK(6481) 2137 ▼92

 先週大きく上げていた反動から売られ大幅安となりました。特に売り急ぐ材料が出たと言うわけでもないのですが、過熱感が出ていたところで外資系証券の投資判断と目標株価の引き下げが伝えられたことも売り急ぐ要因となったものと思います。

明日の相場雑感

 先週末の米国株が軟調となったことや大幅高の反動から売られました。政局の混乱や原油価格の上昇、リビアの騒乱拡大などを嫌気する動きもあり、見切売りが嵩んだものと思います。持高調整の売りもまだ出ていると言うことで、特に売り材料が出ているわけでもなく、好材料が出ている銘柄まで売られ、戻りの鈍さや上値の重さを確認した見切売りも嵩んで、下値の節目を確かめる動きとなったものと思われます。

 大幅高となった次の日に大幅安となるなど指数は荒い値動きとなっています。ここのところ何年か毎年この時期、2月から3月にかけて乱高下となることが多く、いわゆる「季節的なアノマリー」と言うことになっているものと思います。本来であれば、3月は決算月であり、配当取りの動きなどから底堅さが見られる銘柄も多かったのですが、「配当」を当てにした投資などはあまり見られないようです。

 また、従来は配当を取るためには「名義書換」が必要で名義書換が終わるまでは株を売ることが出来ず、配当を貰ってすぐ売りたいと言うことで早めに高配当の銘柄などは買われることもありました。名義書換の問題だけではなく、市場参加者も中長期的な投資が敬遠されがちで「配当」などを言うものも意識していないと言うことも乱高下の要因となっているのだと思います。配当取りの買いが入らないから下げ止まらず、下げ止まらないから手仕舞い売りを急ぐと言う面もあると思います。

 逆に上昇となる時も3月末までに買い戻さなければならないと言うものも多く、いったん上がり始めると配当を取る買いに加えて買戻しを急ぐ動きもあって大きな上昇となるものと思います。特に理由のないなかで単純に持高調整の売り買いが入るとその売りや買いに追随する動きも多く、売り買いともに大きくなりやすいということもい言えるのでではないかと思います。ただ、一つだけはっきりと言えるのは目先的そうした需給に振らされても大きな流れは変わらないということなのです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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