被災地支援で大切な姿勢とは――阪神大震災でのボランティア経験から(3/4 ページ)

» 2011年03月18日 08時00分 公開
[寺西隆行,INSIGHT NOW!]
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支援物資で不要なものを仕分けする

 「テレビで報道されていた大きな被害のところは、逆に自分が行っても邪魔になるだけ」と思っていましたから、東の方から少しずつ、人手が必要かどうか、ボランティア受付センターに足を運ぶことにしました。

 最初に「とりあえず今日1日はこれやってくれ」と言われたのは、西宮市です。配属された地での役割は、「送られてきた支援物質を整理し、不要なものを捨てるため仕分けすること」。……ありえないと思いませんか。

要請されない限り、何も送らないことです。

何が不足しているかも分からずに送られてくるものは、千羽鶴と同じゴミです。

「着るものがないだろう」とボロを送られても馬鹿にされたと思うだけです。

水もガスもないところにカップ麺を送られても意味ありません。

現場に何が必要かを理解しているのは現場のプロだけです。

「●●が不足しているのでどこに送ってほしい」という呼びかけに応えるのであれば、ぜひ送ればいいと思います。(今村岳司氏のブログより)

 被災地は「自らは不要、だけど必要な人がいるかもしれない物」の回収場では絶対にありません。古着屋やリサイクルセンターと勘違いしないでほしい。

 しかし残念なことに、「邪魔なものを捨てる」×「人に感謝される(と推測できる)」という、単に自らの満足を最大化する行為が、「被災地に自分に不要な、かつ、まだ十分に使えるものを送ること」なのです。そして、この行為をする人は、自らの行為の愚かさに気付いていません。

 西宮市のとある倉庫で見た光景、それは……自らの身長の何倍もあるところまで積み上げられたダンボール。その多くは雑多に詰められた古着でした。床には賞味期限間近の食品も至るところに。これが、これが、「知らない人が支援行為を行う時」の実態なのです。

 今回は阪神・淡路大震災の教訓が生かされているのでしょうか。ネットでは至るところで「一番必要な、かつ、被災者のために確実になる支援はお金」と呼びかけられています。だから、今回はきっと前回のような迷惑は発生しないと信じたいです(Z会でも義援金による支援を決定しました)。

 ちょっとだけ脱線しますが、西宮市で働いた時、一緒にボランティアで1日ご一緒した社会人の方からかけられた言葉が、僕の(まだまだ未熟だった)ボランティア観に大きな影響を及ぼしました。

社会人の方 東京から来たのか〜。それはこっち(関西)の人間にはほんとうにありがたいことだね。

 いえ。。。会社を休んでまで働いている方がよほどすごいと思います。

社会人の方 それは違うよ。僕は有給がたまたま余っていたので、消化するため今日ボランティアにきているけど、働いているみんなだって、そこで商品やサービスを一生懸命作っている。今やれることを最大限やることが何よりも大事なんだよ。

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