中東情勢や原発問題が懸念され利益確定売りに押されて軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年03月29日 07時53分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>12197.88▼22.71

<NASDAQ>2730.68▼12.38

<NY為替>81.70 円△0.34円

好調な個人消費が好感されて買い先行、中東情勢や原発問題が懸念され利益確定売りに押されて軟調

 朝方発表された個人消費支出が予想を上回ったことや投資判断の引き上げなどに素直に反応する動きから買い先行となりました。リビア情勢が多国籍軍の空爆効果もあって改善していることや利益確定売りもあって原油価格が落ち着き、インフレ懸念が強まることもなく、日本の原子力発電所問題も小康を保っていることなどから堅調な地合いが続きました。ただ、積極的に上値を買い上がる動きも限定され、上値の重さが気になると今度は中東情勢や日本の原子力発電所問題を材料に手仕舞い売りを急ぐ動きとなりました。

 個人消費が予想よりも改善していることでもわかるように、景気回復の基調はしっかりとしているような感じです。ただ、欧州財政不安や新興国のインフレ懸念、中東情勢の緊迫化や日本の大震災の影響、原子力発電所事故など目先的には懸念材料が多く、決定的に強気になり切れないということなのだと思います。今週は週末の雇用統計を筆頭に雇用や景況感を示す指標の発表も多く、利益を確保しながら戻りを試す動きとなるのでしょう。

 個別には投資判断の引き上げのあったAT&Tやノキアが堅調、連れてベライゾン・コミュニケーションズなど通信株の一角が堅調となりました。米国際貿易委員会(ITC)のいったん下した不利な裁定が見直されると伝わり、イーストマン・コダックが堅調となりました。電子商取引関連企業の買収を発表したイーベイは財務負担が懸念されて下落、個人消費の回復が期待されるのですが、ホーム・デポは利益確定売りに押されて軟調となりました。ハイテク銘柄は利益かくて売りや戻り売りに押されて軟調なものが多く、インテル、アップル、IBMやHP(ヒューレット・パッカード)にマイクロソフトなど、大きな下げではないのですが、揃って軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や外国人が買い越しということもあり、買い先行となりました。為替も円安気味ということでしたが、寄り付きの買戻しが一巡すると、原子力発電所事故や計画停電、大震災の企業業績への影響なども取りざたされて売られ、一時大幅安となる水準まで売られました。期末ということで、積極的な買いには乏しいものの最後は指数構成銘柄入れ替えに絡む売り買いも含めて持高調整の買いが入り下げ渋りとなりました。

 月替わり、年度替りということですが、米国市場が軟調となったことや引き続き原子力発電所事故の影響が懸念されることから、軟調な展開となりそうです。為替は円安に振れているのですが、昨日の日本市場と同様に、「日本売り」の様相となっており、大震災の影響で期末配当の見直しも相次ぎ、配当落ち分も織り込みにくいのですが、その分を含めて下値を試す展開となりそうです。外国人の買いが一段落となると、下支え要因が一つ減ることになり、見切り売りが嵩んでしまうものと思います。復興需要の恩恵が期待される銘柄や太陽光発電関連などが幕間つなぎ的に物色されるのでしょう。

 昨日の動きなどを見ていると9500円〜600円水準が上値となりそうな感じです。原子力発電所次第ということなのでしょうが、下値は9200円〜300円水準と見ておいて良いと思います。放射能漏れが大きく復興の遅れに対する懸念がこれ以上強まるとその水準も割り込んでしまうのだと思いますし、逆に原子力発電所の処理に目処がつけば9500円〜600円水準を抜けて来るのだと思います。原子力発電所の問題が最悪の状況とならない限り、底堅さは見られるものと思います。

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