持高調整の買いもあって大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年03月30日 15時58分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が堅調、為替も円安に振れたことから、買い先行となりました。それでも、円安といっても輸出が滞るなかでは素直に好感できないことや外国人が売り越しと伝えられたこともあり、寄り付きの買いが一巡となった後は上値も重い展開となりました。後場に入ると昨日同様に指数を押し上げるような買いが入り大幅高となりました。指数を押し上げる買いが入ると先物に買いが入り、先物が買われると買戻しを急ぐ動き出る言うような展開でした。昨日同様に目先の需給要因で指数を押し上げたものと思います。

 昨日は軟調とはなったものの後場から買い直されて下げ渋りを見せ、本日は堅調ながらも上値の重い展開となっていたものが前引け間際から買いが優勢となり、後場に入って大幅高となりました。大幅高になった理由としては、円安になったから、と言われるのでしょうが、大震災の影響でまだ被害状況もはっきりしないなかで、素直に輸出企業が買えると言う状況でもなく、昨日と同じように目先の持高調整や思惑買いで指数を押し上げたものと思います。

 電力株が本日もストップ安売り気配となったことで、昨日と同じように電力株を売ったことと同じ効果を得るために、日経平均先物を売り、現物株を買うと言う動きもあったのでしょうし、配当が不透明となったことで、配当を取る代わりに先物を買っていたものが、先物から現物の株に乗り換えるような動きとなったものと思います。また、ETF(上場投資信託)組成に絡むような買いもあったのかもしれません。もちろん、全てが目先の需給に振らされたということではなく、割安感の強い銘柄の見直し買いもあったものと思います。

 ただ、債券が売られており、金利上昇となっているので素直に円安となったことが喜べません。現物株を買う動きが出ている一方で「日本売り」となっている可能性もあり、原子力発電諸問題を筆頭に復興需要など先行きが見えないなかで、業績面から売られすぎているから買われているわけでもなく、どこまで買えば良いのかわかりにくいのではないかと思います。日本で大震災があっても世界的な景気拡大は続いているのでしょうが、日本企業の存在感が薄れてしまわないか心配です。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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