コラム
» 2011年04月04日 08時00分 公開

ヨン様からおひとり参加限定の旅まで……高齢者向けビジネスあれこれちきりんの“社会派”で行こう!(2/3 ページ)

[ちきりん,Chikirinの日記]

キーワードは「健康」と「つれあい」

 そのほか、日本でシニアの財布をうまくとらえているのは“孫ビジネス”です。この分野が大きくなったのは、若い人が市場の可能性を体感できたからです。「うちの親も、孫のためなら気前よくお金を出してくれる」という実体験から、働く人たちが「有望市場」に気が付き、ビジネスにつながりました。

 また、定年後にならないとゆっくり旅行ができない日本では、シニアは旅行業界の有望顧客層です。最初は「退職金を元手に、奥様への感謝をこめて豪華旅行やクルーズに!」という一見華々しい商品ばかり注目されましたが、業界全体として多くの高齢顧客と付き合う中でさまざまなニーズに気が付き、ビジネスが変わり始めています。

 高齢者の旅行のキーワードは「健康」と「つれあい」です。元気に見えても、高齢者の多くが何らかの持病を抱えています。

 例えば、高血圧で塩分の、糖尿病で糖質のコントロールが必要と言われると、日常生活には何の問題もない人でも気軽に海外パッケージツアーに参加できなくなります。食事が不安だし、「塩を減らしてくれ」と依頼する英語力もありません。しかも持病があると、海外旅行保険にも加入できません。「向こうで万が一のことがあったら……」と不安ですよね。

 また、歩くスピードが遅い、階段では膝が痛いなど足腰に不安がある、トイレが近いから長いバスの移動は不安、という人もいます。

 しかし、そういう人の中には「少しくらい高くてもいいから、ぜひあそこに行きたい」という人はたくさんいます。すでに旅行会社のパンフレットには「歩く距離が短いコースです」とか「トイレ休憩を必ず2時間ごとに入れます」などと明記し始めたツアーもありますし、車いすの人や持病のある人も参加できる特別なツアーを催行する会社も出てきました。

 今はまだマイナーな市場ですが、こうした「高齢者のニーズを取り入れた商品開発」は意味のある一歩です。若者は人数が減るし、旅行でもネットで底値を調べて直接予約をします。「若者の海外旅行離れ」を嘆くヒマがあったら、高齢者ニーズを掘り起こすことに時間を使うのが賢い方法でしょう。

 もう1つ、「つれあい」も高齢者旅行ビジネスのキーワードです。「夫を亡くした後でも、20年元気な女性」が増えているし、夫とは趣味が異なるとか、夫にだけ健康問題があり一緒に旅行できない、などのケースもあります。

 それでもこの人たちは1人で旅行に参加したりしません。多くは長く専業主婦だった人で「1人で動く」こと自体に慣れていないし、「ツアーに参加して、自分以外はみんな夫婦連れだと寂しいからイヤだ」と思うのです。

 ここに目を付けて大成功しているのが「クラブツーリズム」という旅行会社です。「おひとり参加限定の旅」というシニア向けツアーを企画しています。「全員が1人で参加するから、寂しくも情けなくもないですよ!」というわけです。しかも「ひとり参加」の人たちはそういうツアーで旅仲間を見つけ、次回から一緒に旅行したりするのです。

クラブツーリズムの「おひとり参加限定の旅」

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