米国株が軟調だったが、大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年04月08日 17時55分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 昨晩は大きな余震が見られ、被災地では再度停電となっているところも多く、原子力発電所も気になるのですが、為替は円安、債券も売られているなかで株式市場は大幅高となりました。個別の材料を見てもここまで買い上がる材料は見当たらず、外国人も売り越しと伝えられるなかでの大幅高だけにいろいろと思惑を呼ぶようです。ただ、目先的な持ち高調整の買い戻しが中心と見られ、物色対象がはっきりとして、相場の方向感が見られると言う雰囲気でもありませんでした。

 予想外に大きな上昇となりました。特に買い急がなければならない理由もなく、外国人も売り越しと伝えられるなかで、売られていた銘柄ほど買われると言うような状況で指数は大幅高となりました。日銀の金融緩和継続が好感されたと言う見方もできそうですが、大きな余震の影響も見定められないなかでの上昇だけに、首をかしげつつ買い戻しを急ぐ向きも多かったのではないかと思います。

 先月後半、大震災の後から日経平均が突如大きな上昇となる場面が何度かありました。「日本売り」が懸念されるなかでの大きな上昇となり、特に買い上がる材料のないなかで大きな上昇となり、「外国人買い」と言うようなことが言われましたが、本日は外国人も大きく売り越しと伝えられており、考えられるとすれば新年度に入り、新規の資金が入った、あるいは入るとの期待から年金などが買いに出ていると言うこともありそうです。ただ、「円キャリー取引」での日本株買いと言う見方でも出来ますし、まだまだ手仕舞いの買い戻しが多いと言う見方もできるかもしれません。

 ただ、いずれにしても目先的な需給要因での指数の大幅高であり、復興の本格化を期待した動きなどと言うことはないと思います。計画停電が回避されそうだと言うことで好感する動き、復興に期待する動きもあるのかもしれませんが、まだ原子力発電所問題も予断を許さず、新たな余震での被害状況もわかっていないなかでそれほど買い上がれるとは思われません。今後はこれからの企業業績の動向を織り込む動きとなって来るのだと思います。外国人の「日本離れ」が止まるのかどうかも大いに注目しておく必要はあるのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.