大震災の業績に与える影響が懸念されて大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年04月19日 16時02分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅安となったことや円高に振れたことから売り先行となり、買い気の乏しい中で大幅安となりました。外国人も売り越し基調とつたえられたことや大震災の影響で米半導体大手の決算発表が予想を下回ったことなどが嫌気されて売り急ぐ動きとなったものと思われます。今期(2012年3月期はもちろん、前期(2011年3月期)も大震災の影響でとの程度損失が膨らむのか見えないところもあり、業績面での予測もつかないと言うことで下がったところでは買戻しは入るのですが、積極的に買い上がれないということなのでしょう。

 2月期決算の小売業などは決算発表がほぼ出揃いましたが、業績見通しを示していない企業も多く見られます。これから始まる3月期の決算発表でも同様に先行きが見通せないことから業績予想を示さないところも多くなりそうです。市場では業績見通しを示さないことが経営者失格とまで言うアナリストや評論家もいるようです。ただ、こうした人達は企業が予想を示しその予想よりも良くなるか悪くなるかと言うことを投資の基準としているだけで、表面的な数字だけで企業の価値を計ろうとしているに過ぎないのではないかと思います。

 もちろん、企業の計画や目標を立てない経営者は失格だと思いますが、単なる努力目標ということではなく、金利や為替、仕入れ価格や販売価格、そして労働生産性などを考えて計画し、その計画通りいけばこうした決算になると言う目処は立つのではないかと思います。各企業の計画やプロジェクト、為替や金利への感応度を加味して業績の予測をするのが「アナリスト」であり、何も企業の予想より良いか悪いかを判断するのがアナリストではないと思います。

 自分なりの投資尺度で企業業績を分析し、割安か割高か、企業の収益が上向きなのか下向きなのかを判断すれば良いのであり、計画や方針、目標などは参考にするべきでしょうが、何もいちいち企業の予測を出してもらう必要なないと思います。企業業績の見通しを発表しないからと言って売られるのであれば、自分で見通しを立てるべく企業に取材し、売り上げや販売価格などを調べて見ればいいのだと思います。それよりもその会社の業績の方向性、大きな流れを掴んでおけば、10%増収でも12%増収でも株式投資の結果としては大差ないと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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