円安を好感する動きから大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年04月20日 16時04分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅下落の反動や好決算、好調な住宅関連指標などから買われたことやユーロが堅調となったことなどから買い先行となりました。外国人は株数では買い越し、金額は売り越しと買い要因とはならなかったのですが、米国市場の引け後にインテルが好調な決算を発表し時間外取引で買われていたこともあって、買い先行となりました。昨日の大幅下落の反動もあり、寄り付きから大幅高となったあとは一旦、上値の重くなる場面も見られましたが、為替がじりじりと円安に振れたことや好材料に素直に反応する動きもあり、大幅高となりました。

 決算発表が本格化するまえに業績の修正も見られます。大震災の影響があったものはやはり、業績を下方修正するものが多く、逆に大震災の影響がなければ上方修正となるものが多いようです。起きてしまったものは仕方ないのですが、「大震災さえなければ・・・」と言うことが多いのではないかと思います。ただ、大震災の影響は不可抗力であり、また、一過性のものと言う見方もでき、業績の方向性がしっかりと上を向いている企業は、大震災の影響で売られたとしてもすぐに期待される水準まで戻るのではないかと思います。

 株式市場は景気に先行するなどと言われ、株価が業績の先行きなどをあらわしていると言う見方もできますが、現在のように先行きばかりではなく、足元の情勢さえ読み切れないような時は変に先を見るよりは足元の底堅さや大震災の影響をしっかりと計ると言うことが大切なのではないかと思います。企業業績の見通しを示さない企業も多いのではないかと昨日もこのコラムで述べましたが、我々が相場全体の方向を占うように、足元の情勢、そしてこれから想定される外部環境などをいくつかのパターンとして想定し、業績見通しを考えると言うことになりそうです。

 そのためには原子力発電所の問題の解決もいくつかの場合分けが必要でしょうし、政府の消費税増税策などと言う愚策も考慮せざるを得ないでしょう。もし増税などが行われれば景気、特に消費を委縮させ、駆け込み需要は期待されるものの、復興の遅れが否めないことになりそうです。デフレ対策も兼ねて逆に減税をして需要を喚起するような政策をとるべきではないかと思います。お金が退蔵することが復興を遅らせると言うことをしっかりと頭に入れておかなければならないでしょう。そして企業業績の動向を計るときにはしっかりとそうした政府の対策なども考慮するべきだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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