米国株高や米ハイテク銘柄の好決算に反応して堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年04月21日 16時11分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅高となり、米国引け後のハイテク銘柄の決算も予想を上回り時間外取引で買われるなど好調な地合いを受けて日本市場も買い先行となりました。欧州金融不安が薄れ、ユーロが堅調となったことや商品相場が堅調なことも世界的な景気拡大の流れを確認するものとして買われました。ただ、日本市場では昨日の相場である程度米国株高を織り込んでいたことに加え、原子力発電所問題なども相変わらず解決の糸口も見られず、かえって状況が悪化しているようにも思われ、上値も限定的となりました。先物にまとまった買いが入り上値を試す場面もありましたが指数の動きが先行している感じでした。

 先物にまとまった買いが入って指数を押し上げ、後場から買い直されましたが、復興に対する期待とか、企業業績の回復、大震災のからの復活を買うような雰囲気はありませんでした。原子力発電所問題がどうしても引っかかり、思い切って買い切れないと言う面もあると思います。米国では財政赤字が取り沙汰される場面もありましたが、「景気回復」と言う唯一無二の目標を掲げて、金融緩和や財政政策を押し出した結果、個人消費や雇用、そして住宅関連の指標まで回復してきたと言うことです。日本とか米国とかの国を一つの会社に例えれば、米国では社員(国民)のモチベーションを引き上げながら社長(大統領)が次々と経営幹部(FRB=連邦準備理事会)などに景気浮揚策を任せたと言うことなのでしょう。

 日本では社長が何をして良いのだかわからず周りの目ばかりを気にして右往左往しているばかりで、景気を良くしなければならない=会社の業績を良くしなければならない状況であるのに社員のモチベーションを引き上げるではなく、人気取りのばらまきばかりを押し進め、大震災が起きてもなすすべなく、社員の個々の努力と奮起に委ねていると言うことでしょう。その間、経営幹部は何をするでもなく回りから文句ばかりを言って、これもまた、自分の派閥の社員の気をひこうとばかりしていると言うことなのでしょう。

 会社の機能が組織だって機能しておらず、社長も幹部もわがままばかり、人気取りばかりと言うことでは、何をするにも目的も手段もごっちゃになって、何も進展しないと言うことになってしまうのだと思います。日本全体の景気を良くするには企業業績が向上すること、そして企業業績が良くなれば個人消費も雇用も税収も当然良くなるのです。誰が儲かるとか考えている状況ではなく、景気を良くすることが大震災からの復興の第一であり、そのために何をしなければいけないのかしっかり見ているような企業に投資をしたいものです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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