第47鉄 災害と復興と洋菓子――2008年夏、柏崎杉山淳一の+R Style(6/6 ページ)

» 2011年04月25日 10時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]
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2011年、東日本大震災に思う

 柏崎の旅から2年半が過ぎた2011年3月、東日本を未曽有の大地震と大津波が襲った。太平洋側の被害が大きく伝えられる中で、長野県北部や新潟県でも大地震が起きている。ブルボンはいち早く新潟県に対してミネラルウォーターと義援金を拠出。東北地方にも義援金拠出や避難樹支援活動を始めていた。さらに新潟県の5つの工場と山形県の工場で被災者の臨時雇用を実施するという。その直前に起きたニュージーランドの地震でもブルボンは支援を行っていたらしい。

 私は何もできず、せめてお菓子を買うならブルボンにしようと思うくらいだ。たまたまブルボンを知っただけで、他の菓子メーカーも支援をしていると思う。けれど、越後線に乗ったおかげでブルボンの心意気を知った。ただボケーッと車窓を眺める旅は、時として良い勉強をさせてくれる。またいつか柏崎を訪れる機会があったら、こんどこそ海岸公園から海を眺めつつ駅弁を食べよう。

 東日本大震災は鉄道の被害も大きく、特に三陸方面は線路が無くなってしまった。私にとって三陸沿岸は未踏の地も多い。しかし、柏崎の教訓を胸に、半端な時期に行って勘違いしないためにも、旅する時期を見極めたい。

2007年2月に旅した宮城県女川駅。石巻線の終点。この駅舎は2011年3月の大津波で流されてしまったらしい
女川駅付近の高台から眺めた街。この景色も今は跡形もないという

 復興を願い、そのために私は何ができるかと考える。僅かながら日本赤十字への寄付はしたけれど、鉄道ファンとして、鉄道へ直接支援するにはどうしたらいいんだろう。被災した路線は「復興時有効の乗車券」を売ってくれたらすぐにでも買いたい。あるいは、かつて赤字の第3セクターが試みた「枕木オーナー制度」などもいいんじゃないか。

 震災復興のため、臨時の石油輸送列車が横浜・根岸から東北へ向けて走り始めた。その姿を頼もしく思った。鉄道の復興は地域復興の象徴でもあり、人々に再興への勇気を与えてくれるだろう。被災した鉄道路線の関係者様、こんな時は遠慮せず、鉄道ファンのお財布をアテにしてください。

map 今回のルート。ここをクリックすると筆者による各ポイントについての説明が読める

今回の電車賃

JR東日本 新宿 - 立川 450円。青春18きっぷ 1日分 2300円。快速ムーンライト信州指定席券 510円。


著者プロフィール:杉山淳一

著者近影(2006年5月に閉館した、東京・万世橋の交通博物館にて)

 肉食系鉄道ライター(魚介類が苦手)にして、前世からの鉄道好き。生まれて間もなく、近所を走っていた東急池上線の後をついていったという逸話あり。曰く「いつもそばを走ってたから、あれが親だと思った」

 コンピューター系出版社でゲーム雑誌の広告営業を経験した後、フリーライターとなる。オンライン対戦ゲーム、フリーウェア、PCテクニカルライティングなどデジタル系の記事を専門とし、日本初のEスポーツライターとしてオンライン対戦ゲーム競技を啓蒙する。

 趣味は日本全国の鉄道路線探訪で、現在の路線踏破率は約8割。著書は『もっと知ればさらに面白い鉄道雑学256(リイド社)』『知れば知るほどおもしろい鉄道雑学157(リイド社)』『A列車で行こう8 公式ガイドブック(エンターブレイン)』など。


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