2011年度の企業業績見通し、東日本大震災で明暗分かれる

» 2011年05月09日 17時36分 公開
[Business Media 誠]

 帝国データバンクは5月9日、「2011年度の業績見通しに関する企業の意識調査※」を発表した。それによると、2011年度の業績見通しを「減収減益」とした企業は33.2%(前年度比4.6ポイント増)と、「増収増益」とした企業の20.7%(同7.3ポイント減)を12.5ポイント上回ったことが分かった。

※調査期間は4月18日から30日。回答企業数は1万769社。

 業種別に見ると、「増収増益」の割合が高かったのは「不動産」(24.8%)や「製造」(22.8%)、「減収減益」の割合が高かったのは「農・林・水産」(42.1%)や「金融」(39.2%)だった。地域別に見ると、特に「東北」で「減収減益」とした企業が45.1%と高くなっていた。

2011年度の業績見通し(出典:帝国データバンク)

業績の上振れ・下振れ材料は?

 2011年度業績の上振れ材料として、挙げられた割合が最も高かったのは「東日本大震災にともなう需要の増加」で41.6%。以下、「外需の好調維持」「原油・素材価格の動向」がそれぞれ23.4%、「政策支援」が15.7%、「為替動向」が15.6%、「株式市況の好転」が13.9%で続いた。

2011年度業績の上振れ材料(出典:帝国データバンク)

 一方、2011年度業績の下振れ材料として、挙げられた割合が最も高かったのはこちらも「東日本大震災による被害」で55.9%。以下、「個人消費の一段の低迷」が48.3%、「原油・素材価格の動向」が40.2%、「所得の減少」が29.6%、「雇用の悪化」が21.6%で続いた。

 個別の声を見ると、「ここ数年、海外に依存していた北海道の観光業界にとって今回の原発事故は死活問題」(旅館・ホテル、北海道)や「被災地以外の地域では公共工事が減少する」(建設、佐賀県)など、東日本大震災による直接被害だけでなく、間接被害を挙げる企業が多かった。

2011年度業績の下振れ材料(出典:帝国データバンク)

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