コラム
» 2011年05月10日 08時00分 公開

松田雅央の時事日想:第一人者が語る、震災後のエコタウンはこうすべし (2/3)

[松田雅央,Business Media 誠]

エコタウンのパイオニア

 ルフラー教授は本誌で紹介したゲロルズエッカー・エコ住宅地の設計者であり(関連記事)、彼が代表を務めるピア設計事務所もこのエコ住宅地にある。

 ゲロルズエッカー・エコ住宅地が完成した1993年当時、ドイツでもエコ建築やエコ住宅地はまだ実験段階で、住民、設計者とも試行錯誤を繰り返していた。ゲロルズエッカー・エコ住宅地はドイツだけでなく欧州の先駆的エコ住宅地として、世界各地から視察・見学グループが訪れる。

 日本からの訪問者も多く、また建築学部の学生や研究者が日本と交流していることもあり、ルフラー教授の日本への思いは強い。

ゲロルズエッカー・エコ住宅地。南面の窓を大きくとり、冬の日差しを有効利用できるよう作られている。ひさし上の太陽熱温水器で年間に必要な給湯エネルギーの約半分をまかなう(左)、建設10周年の記念見学会でエコ建築を説明するルフラー教授(右)

「エコ」=ギリシャ語で「家計」

 菅首相はエコタウンという名前を使ったが、世界的にはエコシティー、ソーラーシティーあるいはグリーンシティーという呼び方もある。この場合の「ソーラー」は必ずしもソーラーエネルギーに特化した街の意ではなく、再生可能エネルギーとエコの象徴として冠されたものだ。また、自然との共生に重点をおけば頭に「グリーン」と付けることもできる。

教授:「いずれにしても、エコタウンの最上位にくる概念は持続可能性です。その下に『エコ建築』『社会性』『自然とエコロジー』『交通』といった項目が続きます。ドイツでは入りませんが、日本なら『地震対策』がここに含まれますし、地域ごとに項目は違ってきます」

 エコは家、家計、経済を意味するギリシャ語「Oikos」を語源とする。エコ建築を語る際は、家計や経済と同様に建設から取り壊しまで1つの閉じたサイクルとして考えなければならない。

教授:建築資材の生産には資源とエネルギーが必要になりますから、なるべく環境負荷が低くなるよう配慮しなければなりません。可能な限り自然素材の使用が望まれます。例えばセメントは生産時に多量のエネルギーを必要とし、世界全体でみると二酸化炭素排出量の7%を占めます。エコ建築ではなるべくセメントを使わないようにするのが基本で、日本ならば木材建築や土壁の伝統が生かせるでしょう。

 さらに、建築工法にも省エネルギーの工夫ができますし、エネルギー消費のなるべく少ない建物を建てることが大切です。

 なお、すでに建っている建物についてはトータルで考えなければなりません。つまり、新築すれば最高の省エネが達成できますが、新たな資源とエネルギーが必要になる。省エネ改修すれば資源とエネルギーは節約できますが、最高の省エネはできない。トータルで考えてどちらのメリットが大きいのか、あらかじめ検討するということです。

 建築後は適時修繕が必要になりますから、修繕の利便性も考慮します。また日本ならば当然、耐震性が重要な要素です。将来、建物を解体する際の資材再利用やリサイクルについても設計段階から考えなければなりません。

 資材の調達からリサイクルまで全体の循環の中で省資源化を考慮する必要があり、これは国や地域によって条件が異なります」

ルフラー教授とピア設計事務所の手がけたエコ建築(幼稚園)。社会教育の観点から、建物内に「ミニチュアの社会」を作っている。エコ建築であることはもちろん、冷暖房・給湯には太陽光と地熱を利用

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