欧州金融不安も根強く上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年05月10日 08時29分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9794.38▼64.82

<TOPIX>853.21▼3.29

<NYダウ>12684.68△45.94

<NASDAQ>2843.25△15.69

<NY為替>80.36▼0.26

商品相場の上昇を好感して堅調となるも欧州金融不安も根強く上値の重い展開

 欧州株式市場は軟調となったのですが、週末のヘッジ売りの買い戻しや商品相場の上昇を好感する動きから堅調となりました。ただ、ギリシャの長期債務格付けが2段階引き下げられたことなどから引き続き金融不安に対する懸念もあり、買い戻しは見られるものの積極的に買い上がる動きには乏しく上値も限定的となりました。個人消費関連の好材料も見られ、景気回復を確認するように商品相場が堅調、信用収縮懸念が一服となり、リスク許容度の低下も一段落ということで買い直す動きもありました。

 QE2(量的緩和)後がそろそろ話題になって来るのでしょうが、とりあえずは足元の個人消費が好調ということや投機的な資金の流れが順調となっていることで、相場全体は景気回復を織り込むように堅調な地合いが続いています。ただ、過剰流動性相場と言う面もあり、欧州金融不安やインフレ懸念から金融引き締めなどが話題になると調整となりそうです。今後はインフレ、金利動向を気にする動きとなって来るのだと思います。

 個別には4月の世界の既存店売上高が前年同月比で大幅増となったことが好感されてマクドナルドが高く、大手証券が「強い買い推奨」を示したペプシコも高くなりました。投資週刊誌が割安感を指摘したUSスチールも高く、原油先物価格など商品相場の上昇を受けてエクソン・モービルなどの石油株、アルコア、デュポンといった素材株が軒並み堅調となりました。一方住宅価格が下落したとの民間の調査結果が示されたことでDRホートンやKBホームなどが軟調、株式併合したと発表したシティグループは軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や為替の落ち着きから買い先行となったものの、寄り付きの買い戻しが一巡となった後は、原子力発電所停止要請の影響が懸念されて手仕舞い売りも嵩み、軟調となりました。外国人も買い越しと伝えられたので、底堅さも見られましたが、戻りの鈍さを嫌気するように売られ、軟調となりました。原子力発電所停止要請が唐突に見られたことで影響を計りかねるとともに、節電や発電関連、代替エネルギー関連銘柄などが買われて底堅さが見られた面もあると思います。

 米国株は堅調となったものの、為替が円高に振れたことや欧州金融不安が取りざたされていることもあり、日本市場も上値の重い冴えない展開となりそうです。原子力発電所停止要請に電力会社が応じると伝えられていることも、電力消費を抑えることが製造や消費を抑えてしまうという懸念も根強く、原子力発電所事故の影響が引き続き懸念されるなかで、復興への足かせとなる可能性もあり、積極的に買い上がりにくくなってしまいそうです。節電関連銘柄や代替エネルギー関連などの値動きの良い銘柄が引き続き物色されることになるのでしょう。

 日経平均の9800円〜900円水準が上値となってしまいそうです。復興需要に対する期待が高まれば9800円〜900円水準での底堅さを試すことになると思われましたが原子力発電所停止と言う新たな悪材料が出たことで、上値はますます重くなってくるのだと思います。決算が好調な銘柄も多いのですが先行きに対する不安も根強いことから上値の重さを確認して、一旦は押し目となる9500円〜600円水準を試すことになりそうです。

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