節目を意識して上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年05月11日 16時08分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が堅調、為替も円安となったことや本日も外国人が買い越しと伝えられたこともあって買い先行となりました。好決算の発表に敏感に反応するものなども見られ堅調な展開となったのですが、節目と見られる9900円水準を一気に抜けて買い上がるだけの材料に乏しいということで上値も重く、上値の重さが嫌気されると目先筋の利益確定売りや持ち高調整の売りも嵩み上げ幅縮小となりました。原子力発電所問題などまだまだ波乱含みと言うことで最後まで買い上がれないようです。

 企業業績の発表に敏感に反応するものも見られますが、今期業績見通しを厳しく見ているところには市場の反応も厳しいものとなっています。ただ、昨日のトヨタ(7203)や本日のルネサスエレクトロニクス(6723)のように、大震災の影響からの復帰が予想よりも早まるケースも多く、前期業績が芳しくなく、今期も厳しく見ている銘柄の大きく売られたようなところは反発を期待しても良いのではないかと思います。好業績を発表し、堅調な企業業績の拡大を発表しながらも市場予想を下回ったと言うことで売られた銘柄なども決して業績が悪いわけではないので、売り一巡後は反発が期待されると思います。

 そもそも、「市場予想」自体がどこまで信用できるかという問題もあり、会社側予想よりも良かったのか悪かったのかを議論するのは良いとしても「勝手に」予想していたものが、しかも予想の「平均」と乖離していたからと言って慌てふためく必要はないと思います。株価の動きだしのタイミングとしてディーラーなどが手掛けるのは良いとしても本来の「投資」を考えてみた場合には「市場予想」そのもの吟味する必要もあると思います。

 アナリストの「投資判断」や「目標株価」などもあまりあてにする必要もないと、このコラムでは何度も述べて来ましたがあたかも専門家のように「何でも知っている」からと株価や企業業績の予測がそれほど簡単にできるとも思われません。逆に、目標株価ではなく、今が「割安」か「割高」かを示すだけで良いのでしょうし、業績見通しでも会社側の予想が慎重すぎるのか妥当なのか、それとも楽観的すぎるのかを考えれば事足りるのではないかと思います。投資の判断基準を自分で決めておく方が他人の細かい数字にこだわるよりも有効だと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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