売り先行、戻りきらずに売り直されて大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年05月12日 15時53分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 米国株が大幅下落となったことやユーロ安を嫌気して売り先行となりました。外国人も売り越しと伝えられたこともあり、寄り付きから大きく売られる場面もありました。ただ、主力銘柄の決算が発表されるなかで、好調な決算が示されたことや今期業績見通しも大震災の影響が読み切れないとしているものの、早期の回復も期待されて買われ、指数は下げ渋りとなりました。戻りの鈍さを嫌気して売り直される場面もありましたが、明日の先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出の思惑や持ち高調整の売り買いもあり、底堅い展開となりました。

 決算動向に敏感に反応しているようで、目先の需給要因に振らされている感じです。さほど好決算とは思われない場合でも大きく売られていた、あるいは物色対象から外れていたような場合は決算発表を機に買われるというものも多く、逆に好決算を発表しながらも株価がしっかりと上昇していたような銘柄は買われず、今期見通しを示さないと言うことだけで売られたりもしています。

 先日来、決算発表時に動いた方に大きく動き傾向にあるということを述べていますが、決算発表時だけではなく、好材料も悪材料も利益を確定する、あるいは損失を確定するきっかけにすぎないと言うことも多いようです。「知ったら仕舞い」とか「噂で買って、真実で売れ」などと言うことが言われますが、今の相場は決算発表前に高ければ決算発表で売り、決算発表前に安ければ決算発表で買うというような動きも多いのではないかと思います。

 その時々の相場の季節性や特性なども注意して見ておく必要もあり、米国でも「5月に株を売れ」と言われるように、どちらかと言えば好材料よりは悪材料に反応しやすいという時期なのかもしれません。6月が決算月と言うファンドなどの「45日ルール」と呼ばれる解約の締め切りの時期でもあり、本筋の材料に反応するというよりは目先の需給に大きく反応することも多いのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.