ちきりん:バブル経済のときに一流企業に就職した男性と“昭和妻”の組み合わせカップルだと、そもそも女性側は働く気がない。そして家を買うのはもちろん「子どもにはいい教育を……」という競争にも参加させられている。
城:そのしわ寄せは旦那にいくんですよ。小遣いを減らされたり。僕の知り合いでもランチ代は500円までという人がいます。彼は社内食堂で300円の盛りそばを食べて、ジュース2本飲めば、1日はそれでおしまい。
ちきりん:私はビジネス社会で、女性という性別によって格差を付けられました。男性より圧倒的に恵まれていなかったわけです。城さんは男性だけど、日本経済の停滞時期の就職ということで恵まれなかった。
でも、この「恵まれていなかった」ことが実はラッキーだったと思うんですよ。恵まれないところにいたからこそ、いろんな制度の矛盾に気付くことができたわけです。女性として就職活動をして、男性社会の日本企業で働くと、「日本企業で働くということがものすごく大変」と分かってしまうので、外の世界に飛び出す動機になります。
しかし自分が男性で、バブル期に一流大学を卒業していたら、日本社会や企業制度に完全に取り込まれてしまって、気付いたときには手遅れになってしまっていたのではないかと思います。
城:1980年代に就職活動をした人がこのようなことを言っていました。「当時は大企業でも、会社の中に女子トイレがなかった」と。会社というのは女性がいる世界ではなかったようですね。
ちきりん:昔の映画をみていると、工場はもちろん本社ビルでもクーラーがないんです。クーラーがなければ、そこで働いている男性は残業時間になるとステテコ1枚になったりしている。あれは、会社に女性はいないということが前提になっている時代で、それにあわせてすべてが最適化されていたんだなと思います。時代として「女性は仕事なんてしなくていいよ」ということだったのでしょう。
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