日本企業の多くは若い人を採用する一方で、高齢者を敬遠する傾向がある。例えばハローワークに行っても「年齢ではじかれてしまって、面接すらできない」といった声をよく聞く。なぜ企業は中途採用……特に高齢者の採用に力を入れないのか。この問題について、ブロガーのちきりんさんと人事コンサルタントの城繁幸さんが語り合った。
城:日本型雇用というのは「男は仕事、女は家庭」的なイデオロギーを内包していて、その影響は社会全体にさまざまな形で影響していると思います。ちきりんさんは女性の立場から見て、どういう場面で違和感を覚えますか?
ちきりん:私は女性に生まれてものすごくラッキーだったと思っています。女だったからあの意味不明な日本企業の世界に取り込まれなくて済んだわけですから。本当によかったです。
城:なるほど。
ちきりん:私が就職活動を始めたころはバブル経済に向かっているときでした。ものすごく売り手市場だったので、もし男性だったら何も考えずに東京電力に就職していたかもしれない(笑)。大企業に就職していればがっちりその世界に組み込まれて、逃げられなくなっているはず。家族がいれば家を購入し、いまごろ住宅ローンを毎月返済していたかもしれませんね。
就職活動のときには「なぜ男子学生とここまで差をつけられるんだろう?」と悔しく思っていました。しかし就職して2〜3年たったころには「男の人はこんな世界にずっといなくてはいけないのか……男性って大変だなあ」と同情していました。
城さんは富士通に就職されて、人事部に配属され、そこでいろんな現状を目にして考えるきっかけを得られたのではないでしょうか。人間というのは矛盾が集中しているところにいくと、いろんなことが見えますよね。恵まれている環境にいると見えないことが。
城:そうですね。
ちきりん:当時の女子学生は学歴がよくても就職活動は本当に大変で、企業から内定をもらうことが難しかった。私は差別をされているマイノリティグループだったわけですが、結果としてはそのことが逆に人生をハッピーにしてくれました。当時の男性は、会社以外に人生の選択肢が少なかったので、本当にかわいそうです。
城:バブル経済のときに企業に就職し、35年の“住宅ローン絶賛返済中”という人はたくさんいますよね。バブル時に入社し、主任や係長補佐の人は「これ以上給料は上がらないな。今後は下がるだろう」ということは分かっている。でも住宅ローンを返済しているので、動くことができない。
ちきりん:しかもそういう人の奥さんって“昭和妻”が多い(笑)。
城:ハハハ。
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