東京電力福島第1原発の収束は、依然として先が見えない状況だ。「政府や東電は情報を隠しているのではないか」といった批判が出ているが、なぜ事故が起きたときにIAEAなどの外部機関を受け入れることができなかったのだろうか。原発事故後の対応について、人気ブロガーのちきりんさんと人事コンサルタントの城繁幸さんが語り合った。
城:東京電力福島第1原発の事故を通して、さまざまなところで二重性が見えてきましたね。例えば政府や東京電力の対応というのは、まだこれからが大事だと思う。現時点(4月6日)でどうこう言うつもりはありませんが、1つ象徴的だったのは被災者の人たちが避難所などで秩序正しい行動をしていたこと。きちんと列をつくって並んでいたり、みんなが助け合ったり。
また原発事故について、想定外の対応をしています。現場では被ばくをしながら作業をしている人がいる。それは東京電力の関係者だけでなく、管轄外の消防士であったり、警察であったり。その半面、東京電力が「想定外だった。想定外だった」と言っている。政府も平均以上の対応はしていなくて、想定外の事態に直面し、慌てふためきながら対応しているだけ。
現場は非常に優秀なんだけども、組織としては設計以上のパフォーマンスが出せていない。その二重性を感じましたね。それは日本の1つの国民性なのかもしれない。空母の上から颯爽(さっそう)と降りてきて、スピーチで国民を奮い立たせることは、日本人にはできないように。
ちきりん:ハハハ。
城:米国の大統領のように、日本の政治家は演出やアドリブが苦手。しかし米国人には被災地で秩序ある行動は難しいかもしれない。どっちが良い・悪いという話ではなくて、震災後の行動を見ていて、日本人の特徴が出ているなあと思いましたね。
ちきりん:そうですね。パニックになるような情報が出てくると、メディアは自己規制して混乱しないような報道をする。メディアも避難所の日本人と同じように、秩序だって報道しようとしていますね。
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