真面目な性格が裏目に? 原発事故を振り返るちきりん×城繁幸の会社をちゃかす(2)(3/3 ページ)

» 2011年05月11日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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自分たちだけで解決しようとする日本人

ちきりんさん

ちきりん:宋文洲さんがテレビで「東京電力と経済産業省の人たちだけで対処しているから、みんな“情報を隠しているのではないか”と疑ってしまう。これは日本の事故ではなく世界の事故なのだから、あそこにIAEAの関係者やフランスの原子力専門家を入れ、一緒に処理して発表していれば、世界も何かを隠しているとは思わないはず」とおっしゃっていました。これはその通りだと思いました。

 阪神・淡路大震災が発生した直後に、海外から救助隊や救助犬のオファーがたくさんありました。しかし日本政府は受け入れ体制が整っていないとの理由で、すぐに支援を受け入れませんでした。海外では「なぜ日本はすぐにイエスと言わないのか」と問題になっていました。

 コレはさすがに政府も反省し、それ以降、新潟などで震災が起きたときには救助隊と救助犬を受け入れました。日本人は真面目なので「自分たちが起こした問題は自分たちだけで解決しよう」という気概に溢れているんですよね。阪神・淡路大震災が起きたときは日本で起きたので、国内の救助隊だけで解決しよう。福島第1原発事故は東京電力で起きたので、東京電力と経済産業省だけで解決しよう、という感じです。そこにIAEAの関係者に来てもらって、助けてもらおうとは考えもしない。自分たちの問題だから自分たちが責任をもって対応する、という考え方は、ある意味日本的な覚悟であり責任の取り方なのでしょう。

 でも今回の事故ではそれが裏目に出てしまいました。東京電力と経済産業省は世界の専門家に助言を求め、IAEAやフランスの専門家たちと一緒に対処していれば、文句を言う人は少なかったでしょう。自分たちだけでなく「共同で問題解決する」ということの価値を、今回の事故で気付けば、それは大きな学びになるはずと思います。

 →続く

プロフィール:城繁幸(じょう・しげゆき)

 人事コンサルタントを務めるかたわら、人事制度、採用などの各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。著作に『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか−アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』ほか。

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プロフィール:ちきりん

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。近著に『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN

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