営業マンはモノを売る前に、“先生”になるべき売り込まず、お客をファンにする方法(2/3 ページ)

» 2011年05月17日 08時00分 公開
[安東邦彦(ブレインマークス),Business Media 誠]

「顧客」の立場で考えてみる

 ですから、情報提供の活動はあくまで顧客視点であることが重要。直接的な販売活動を目的とするのではなく、「あなたの個性や存在価値、商品の優位性」をじっくりと顧客に伝えていくことを第一義とします。

 情報提供の方法は業種によって工夫するべきですが、具体的にはメール、ニュースレター、セミナー、小冊子、面談などが挙げられます。しかし、行うべきことはたった1つ、「顧客の求める情報」を提供することです。

 情報の内容に正解があるわけではありませんが、成果をあげている情報提供にはある一定の決まりがあります。それは「あなたのもっている専門情報と顧客が知りたい情報」の接点を探すということ。

 例えば、あなたが保険の営業マンだとします。あなたが保険の新商品やキャンペーン情報ばかりを提供していたのでは、顧客から信頼されるとは思えません。それは、顧客が望む情報ではなく、自分の売りたい商品の情報だからです。顧客にとっては「情報ではない」とさえいえます。これを情報と勘違いしてしまうところに、情報提供活動が失敗する最大の要因があります。

すぐに商品を売ろうとしない!

 保険商品そのものを購入したい人はほとんどいません。顧客は保険に加入することで、病気やケガに対する不安を軽減し、自分や家族のために安心を手に入れたいのです。

 そう考えるならば、あなたが提供すべき情報は、よりよい病院選びの情報や先進医療の情報、あるいは健康維持に必要な食事や運動の情報……などとなるでしょう。不安の軽減と安心の獲得の一助となるからです。

 そうは言っても「商品の告知がしたい」「優位性を伝えたい」という場合には、定期的な情報提供とは切り離して、単発の商品情報やご案内として発信する方がいいでしょう。ただその場合も、顧客ニーズに沿った情報提供を継続的に行っていることがポイント。

 継続的な有益情報の提供をしているという実績があれば、単なる商品情報でも、顧客は問題解決の手段として受け取ってくれるもの。これが売込専門の営業マンと、専門家としてのポジションに移った営業マンの違いです。

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